一途な恋を黒犬と

□10クィディッチとバックビーク
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ハーマイオニーと話をした翌々日

とうとうクィディッチのグリフィンドールとレイブンクロー戦が開始された。

ハリーはもちろんファイアボルトの初陣で、競技場は皆ファイアボルトに釘付けだった。

解説のリー・ジョーダンなんてファイアボルトの宣伝係になったかのようにファイアボルトの事ばかり話してマクゴナガルに怒られる始末だ。

マリアもスナッフルズ姿のシリウスを連れて試合を観戦していた。


試合開始まもなく

「やあ、マリア。

試合はどうなっているんだい?」

そう言ってリーマスが隣にやってきた。

「始まったばかりだけど、グリフィンドールが優勢よ」

「あの見事な飛びっぷりを見ると、ジェームズを思い出すね」

「そうね。スナッフルズもそう思うでしょう?」

マリアはじっと試合に見入っている黒犬に声をかけた。

「......」

「返事も見向きもしないで見てるって事は、それだけそっくりなのね」

マリアは苦笑した。

「それにしても驚いたね。

マリアがファイアボルトを買い与えるなんて」

「私じゃないわよ。

無駄にお金を持ってる人がポンっと買い与えたの。

買えるわけないじゃない。」

「え?ハリーはリリーに頼まれていたマリアが買ったって...」

「本当のことを言えるわけないでしょ?シリウスからなんて。

怪しまれないために私の名前を使ったの。」

「あぁ、まあそうだね。」

そんな会話をする間、ハリーはチョウ・チャンに何度も進路を塞ぐように妨害されていた。

そして2度もスニッチを逃していた。

ウッドが吠えていた

「ハリー、紳士面してる場合じゃないぞ!

箒から叩き落とせ!」

どうやらチョウは自分でスニッチを見つけるのではなく、ハリーをマークすることに決めたらしい。

ハリーはそんなチョウにフェイントをかけて、そしてスニッチを見つけて取りに飛んだ。

その時、チョウが一点を指差して叫んだ。

「え?ディメンター???」

「いや、あれは...」

そうマリアとリーマスが呟いた直後、ハリーは杖を出して叫んだ。

「エクスペクト・パトローナム!

パトローナスよ来たれ!」

白銀色の何か大きなものが杖から噴き出し、ディメンターにぶつかった。

ハリーはそれに見向きもせず、そのままスニッチを捕まえた。

フーチが笛を吹き、試合終了の合図が鳴り響いた。

「やった!勝った!」

マリアはピョンっ飛び跳ねてリーマスに抱きついた。

それを見たスナッフルズがすぐさま間に割り込んで2人を引き離した。

「これはまた」

そう言ってリーマスは苦笑した。

「も、もう。スナッフルズ...。

とにかくハリーのところに行こう?

パトローナスの事も褒めてあげなくちゃ!」

マリアはニコニコと言った。

ハリーはチーム全員に空中でもみくちゃにされ、更に地上に降りればグリフィンドール生に取り囲まれていた。

「ハリー、おめでとう!」

「立派な守護霊だったよ」

そうマリアとリーマスが声をかければハリーはパッと振り向いて2人の元になんとかやってきた。

「ディメンターの影響が全然ありませんでした!」

ハリーは興奮気味に言った。

「あー、ハリー?」

マリアは言いにくそうにし、

「実はディメンターじゃなかったんだ」

そうリーマスが繋げた。

3人と一匹でピッチの端が見えるところまで行った。

「ずいぶんマルフォイを怖がらせたみたい。」

マリアはクスクス笑って言った。

ハリーは目を丸くして驚いて、マルフォイ、クラップ、ゴイルとマーカス・フリントを見下ろしていた。

そうしてマクゴナガルも憤怒の形相で4人を見下ろしていた。

「浅ましい悪戯です!

皆処罰します!

さらにスリザリン寮は50点減点!

ダンブルドア先生にもお話しします!」

マリアは職員として悪いと思いながらも、この光景に笑わずにはいられなかった。

ハリーもロンと大笑いしていた。

その夜、グリフィンドール談話室ではパーティーが行われた。

まるで優勝杯を手にしたかのような騒ぎだったようだ。

マクゴナガルが翌朝、嬉しいのはわかるが騒ぎすぎだとぼやいていたのをマリアは苦笑して聞いていたのだった。






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