一途な恋を黒犬と
□9クリスマスと消えたあいつ
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朝食はいつも通りだったが、昼食になるとテーブルが中央に用意され、13人分と一匹分の食器が用意されていた。
ダンブルドア、マクゴナガル、スネイプ、スプラウト、フリットウィックの教員が並び、管理人のフィルチも並んでいた。
その他にスリザリンの5年生と緊張でガチガチの1年生が2人、そしてハリーたち3人とマリアとスナッフルズだ。
マリアたちの後に、ハリーたちがやってきた。
「メリークリスマス」
そうダンブルドアが3人に挨拶をした。
ダンブルドアははしゃいで全員にクラッカーをもたせた。
バーンという音がして、クラッカーが弾け、大きな魔女の三角帽が現れた。
マリアはボガートの授業を思い出してニヤリとした。
どうやらハリーたちも同じだったようだ。
「どんどん食べましょうぞ!」
ダンブルドアは皆ににっこり笑いかけて言った。
少しすると大広間の扉が開いて、トレローニーがやってきた。
「シビル、これはお珍しい!」
ダンブルドアが立ち上がった。
トレローニーは水晶玉で皆と食事をする姿が見えたから来たと言った。
「椅子をご用意いたさねばのう」
ダンブルドアは杖を一振りした。
トレローニーは座る前に
「まぁまぁ、あたくしがきて良かった!
やはり運命だったのですね」
そう言って全員を見渡して言った。
「今、このテーブルは13人ですもの。
死人を出さずに済んで良かったですこと」
ああ、よく言う13人で食事をした時に、1番初めに立ったものが死ぬというあれかとマリアはため息をついた。
それからトレローニーがリーマスについてああだこうだ言っているのが聞こえたが、マリアは無視して食事を楽しんだ。
食事が終わる頃、ハリーがマリアに声をかけた。
「マリア先生、少しお時間ありますか?」
「ええ、もちろん」
マリアは食事を終え、席を立った。
「スナッフルズ、行こう?」
そう呼びかけると、スナッフルズも食事を急いで済ませてマリアの後を慌てて追った。
カウンセリング室にハリーを通して、マリアは紅茶を用意した。
「ハリー、座って」
マリアは茶菓子を準備しながら言った。
「はいお待たせ」
そう言ってマリアはお菓子をテーブルに置いて、自身もソファに腰掛けた。
「あの、マリア先生
ファイアボルトをありがとうございました!すごくいい箒で!
あの、でも、どうして?」
そう喜びを表すハリーを見てマリアは微笑んだ。
「箒、壊れちゃったでしょ?
すごく落ち込んでいたし」
「でもあれはすごく高くて...」
「そうね、気にしなくていいのよ。
リリーに、あなたのお母さんに頼まれていたの。
ハリーに何かあったら助けてあげてって。
軍資金も少し預かってたし」
そう考えていた嘘の理由をマリアはスラスラと答えた。
「そうだったんだ...母さんが!」
ハリーが嬉しそうに微笑むので、マリアは少々罪悪感にかられたが、シリウスの無実が証明できたら絶対に本当のことを言おうと心に決めた。
「カードにマリア先生の名前があったんだけど、
ハーマイオニーがシリウス・ブラックからかもしれないって言って危うく呪いの検査をされるところでした...。
ちゃんと先生からで良かったです」
「ハーマイオニーらしく賢明なことね。
シリウス・ブラックはそんな事しないと思うけど」
内心でハーマイオニーすごいなとマリアは思いながら言った。
「あの、先生....」
「なに?」
「昨日の....三本の箒での事なんですけど....」
ハリーは言いにくそうに切り出した。
「シリウス・ブラックについて知りたいのね?」
「はい」
「私の知っている事は話すわ。
だけどハリー、昨日の先生方の話も私の話も、しっかり考えて正しいと思う事を信じて。
誰かが話した事全てが真実とは限らないから。
まあ、私がこれから嘘をつくって言うわけじゃないのよ?
ただそれぞれに信じている物があって、それとは別に真実があるかもしれないって話よ」
難しいかな?とマリアは言って、シリウスの事をあの事件の事を話し始めた。
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