一途な恋を黒犬と

□7壊れた箒
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マリアは慌てた。

下まで降りてきた時、ハリーはもう地面にぶつかる直前だった。

すぐ横にダンブルドアが現れ杖を一振りすると、ハリーの落下スピードが少し遅くなった。

マリアはそれを見て急いでハリーの元に駆け寄った。

ダンブルドアがディメンターを追い払ったので、マリアはパトローナスを戻して、ハリーの状態を診た。

「よかった....」

骨なども異常はなさそうだ。

隣にダンブルドアが立ったのがわかり、マリアはハリーから少し離れた。

ダンブルドアは担架を出してハリーを乗せた。

「ダンブルドア先生、私が医務室まで運びます。

あいつらのところへ行かれるんでしょう?」

「そうじゃ。抗議せねばならん」

ダンブルドアほどではないが、マリアも怒っていた。

"あんなやつらにシリウスを渡してたまるもんですか!"

そうしてマリアは医務室までハリーを運び、ニンバスを探しに再び外へ出て行った。

「どこに飛んでいっちゃったかな」

マリアがあちこち探し回っていると、暴れ柳の方からフリットウィック先生がやってくるのが見えた。

「フリットウィック先生!」

雨音に負けないように声をかければ、フリットウィックは顔を上げた。

「シュルツ先生」

「ハリーの箒....ですか?」

「残念ながら。暴れ柳にぶつかってしまった」

「私が届けます」

そう言ってマリアはフリットウィックからニンバスの残骸を受け取り、医務室へ戻った。

ちょうどハリーが「僕の箒は?」と訪ねたところだった。


「ハリー、フリットウィック先生が見つけてくださったわ」

そう言って粉々になったニンバスをそっとテーブルに載せた。

「暴れ柳にぶつかってしまったそうよ」

ハリーのショックを受けて辛そうな顔を見て、マリアはハリーを抱きしめた。

「ハリー、話したいことがあったら聞くから呼んでね」

それから、とマリアは続けた。

「リーマスに頼んでおくね」

何をとはハリーは聞かなかった。

"ディメンターのことを気にしているのをマリア先生はちゃんとわかっている。しかもそれだけじゃないことも"

そう思って、ハリーはマリアに頷いた。

ハリーが頷いたのを確認して、マリアはハリーにお大事にと告げて医務室を後にした。





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