一途な恋を黒犬と
□4再会と新しい授業
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ホグワーツへ着くとマリアはダンブルドアの元へと急いで向かった。
「糖蜜タルト」
合言葉を告げると、ガーゴイルが動き出し、動く螺旋階段が現れた。
「本当にダンブルドア先生はお菓子が好きよね。
今年はラズベリーのジャムが好きだからラズベリーののった糖蜜タルトなのかな?」
そんなことを呟きながら螺旋階段に乗るマリアだった。
「ダンブルドア先生」
「おぉ、マリアか」
何事かを考えていたのか歩きながらぶつぶつと呟いていたダンブルドアがマリアの声に顔を上げた。
「夏休みはいかがでしたか?」
「楽しかったとはお世辞にも言えんのぅ」
「ですよね」
そう元凶の黒い犬を思い出して、マリアはクスリと笑った。
そして真剣な顔になりマリアは
「先生、シリウス・ブラックは無実です」
そう告げるのだった。
「ふむ。何があったか話してもらえんか」
「はい」
そうしてマリアはシリウスを発見した時のこと、シリウスに聞いたあの日の話、ピーターペティグリューのことを話した。
「そうかそうか。しかし証拠が無ければディメンターを止められぬ。無実を他の者にも証明できん」
「わかっています。私がピーターを捕まえて、魔法省に突き出します」
そう強く言い切ったマリアの目を見て、ダンブルドアは言った。
「そうか。信じておるが立場上、シリウス・ブラックが校内に現れた場合、わしは生徒を守るために捕まえねばならぬ。
居場所を知っておるのなら、ようく言い聞かせるのだぞ。
表立っての援助も庇うことも証拠が無ければ出来ん立場なのでな」
その言葉に頷くと、マリアはダンブルドアに頭を下げ、校長室を後にしようとした。
「そうじゃマリア」
「なんでしょう?」
ダンブルドアの呼びかけにマリアは振り返った。
「今年はハグリッドの手伝いの他に狼の面倒も見てもらえんかのう?」
「え....狼?」
困惑したマリアに向けて、悪戯っ子のように瞳をキラキラさせたダンブルドアが
「頼んだぞ」
そう告げるのだった。
ダンブルドアの部屋から自身の部屋に戻ったマリアは、ダンブルドアの頼み事に未だに困惑していた。
「狼なんて森にいたかな...」
うーんと悩むも答えが出るわけもなく、マリアはその言葉を振り払って、荷物の整理をサクッと終わらせることにした。
粗方片付いた頃、時計を見れば大広間に集まる時間間際だった。
「いっけない!曲がりなりにも先生が遅刻するわけにはいかないよね」
そう言ってマリアは慌てて大広間に向かったのだった。
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