一途な恋を黒犬と

□3動き出した時
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ハッとした様子の黒犬にマリア
は呼びかけた。

「シリウス..」

その言葉に人の姿に戻ったシリウスは

「マリア...か?」

そう訪ねてきた。

「そうよ。待ってた...待ってたの」
「...!」
「色々話したいから..安全なとこに行こう?」

そうシリウスの様子をマリアは窺った。
信じてくれるだろうか..

「わかった」

了承は得たものの信用はまだされていないようだった。顔が少し厳しい。
当たり前だと思うが、少し悲しかった。

「私の家に行こう。
部外者は入れないように魔法かけてるし..ダメかな?」
「いや、頼む」

そうしてマリアは黒犬姿に戻ったシリウスと一緒に姿現しで家の近くまで飛ぶのだった。




「あの、シリウス」
「なんだ?」

リビングに通してお茶を出したものの、マリアは気にしていた。

話の前に、お風呂に入ってもらって着替えてもらったほうがいいのではないかと。

「話の前に、お風呂に入って着替えない?疲れてる..でしょ?」

なにせアズカバンにいたのだ。
あんな生きた心地がしない所にいたのだから、一息ついてもらいたかった。

「いや、すまないが話が先だ。
ここが安全だとしても、いつ奴らにみつかるかわからないからな」
「もうっ、ここはダンブルドアが秘密の守人なの。見つかりっこないから..少し休んでよ」

そう言ってマリアは目を潤ませた。

「なっ、おい...」
「ごめん...大丈夫。
シリウスが話をしたほうが安心するならそうしましょ」

そう言って少し俯いた。
パッと顔を上げた時にはもう普通に戻っていたがシリウスは若干狼狽えていた。

「何から話す?」
「俺が脱獄した理由から...いや、あの日の事から話そう。」





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