一途な恋を黒犬と

□2過去
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あぁ、そんな過去の一幕もあったなとマリアは続けて過去を振り返った。

そもそも、その悪戯仕掛け人達と過ごすようになったきっかけを。




マリアは悪戯仕掛け人達の5つ下で、ホグワーツに入学した時、彼らは6年生だった。

入学した初日に、同じグリフィンドールに入ったマリアは彼らの存在を知ったのだ。

苦手な部類だ、と彼らを見た第一印象はそれだった。

だからマリアは出来るだけ関わらぬように悪戯仕掛け人達を避けて上手いこと関わらずに1年を過ごした。

マリアは他人曰く、才色兼備で有名だった為、どうも悪戯仕掛け人達も関わっていずともマリアの存在は知っていたようだった。


そして悪戯仕掛け人達が7年生、マリアが2年生になってすぐのこと。

マリアは同学年のレイブンクローの男子生徒に告白されたのがきっかけで、レイブンクローの女生徒からちょっとした嫌がらせをされるようになってしまったのだった。

告白は断ったものの、彼女の腹の虫は治らなかったのだと思う。

徐々に嫌がらせの度合いが酷くなり、正直辟易していた頃に、マリアは主犯の子に呼び出されたのだった。

水をかけられ、色目を使うななんだかんだと罵倒されている場面でなんとシリウス・ブラックが割って入ってきたのだった。



「おい、お前ら。女の嫉妬はみっともないぞ」
"そんなんじゃ男も振りむかねぇよ"と言いながらシリウスはマリアの手を取って立たせた。

「大丈夫か?」

こくりと頷いたマリアを見て、シリウスは視線をレイブンクローの女生徒達に移した。

「2度とこいつに手ぇ出すなよ」

そう睨みを利かせていい放ち、シリウスはマリアの手を引いてその場を後にしたのだった。

途中、シリウスは自分のローブをびしょ濡れのマリアにかけて、俯いたままついてくる少女の様子を伺った。

すると唐突に顔を上げたマリアとシリウスの目が合い、自然と歩く足は止まった。

「先輩、ありがとうございました。ローブ、乾かしてお返ししますね」

そう言ってさっと目の前に見えてきていた談話室の入り口へと歩いて行くマリアを見て、シリウスは咄嗟にマリアの手を掴んで引き留めた。

「!?な、なにか...」
「助けたんだから事情くらい聞いてもいいよな?」

大体は分かるけどと心の中で呟いて、シリウスはマリアの反応を待った。

「わかりました....着替えてくるので談話室で待っていてもらえますか?」
「おう」

ため息混じりでもマリアからOKの返事をもらえ、ずっとマリアと話しをしたかったシリウスはニヤリと口角を上げたのだった。





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