巻島
□シャッターを押して
10ページ/16ページ
「金城さん。
私もインハイに連れて行っていただけませんか?」
部活が終わって、雪乃は金城に問いかけた。
「あ、連れていくっていっても、あの、自分で行くんですけど、...泊まるところとか一緒にしたくて。
自分の分のお金は払うので、一緒に予約とかしてもらえたらなって。」
「一緒にバスに乗っていくか?」
「え、いいんですか?」
「何で向かうつもりだったんだ?」
「バイクで.........向こうでもバイクでなら小回りもきくし、なんとか先回りして写真撮れるかなって、思ったんですけど...」
「わかった。バイクもバスに積んでもらおう」
女子が箱根までバイクなんて危険だとお叱りを受けてしまったが、
インハイには極力一緒にいさせてもらえることになった。
「もし可能なら、他のメンバーの写真も撮ってくれると嬉しいのだがな。
無理にとは言わん」
「撮りたいと、そう思えたら」
その言葉に頷いた金城さんは、多分予想していたのだと思う。
インハイという場での皆んなの走りが、私にシャッターを押させることを。
.