巻島

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side巻島


最初は正直、邪魔だと思ってた。

けどオレだけを毎日見てる存在がいるっていうのは、悪くない。

そう最近思い始めてたのに

「んだよ、アレは」

そこには何やら楽しげに話している鳴子と篠宮。

「オレが走ってんの見てないじゃねぇかヨ」

なんて口走ってるオレ、どうしたんだ。

「そう落ち込むな、巻島。
今だけだろう、彼女が走ってる姿を見て無てなかったのは」

「...き、金城。
聞いてた、ショ」

どうやらオレは金城の言う通り、篠宮が見てくれていなかったことに落ち込んでいるらしい。

翌日も、なんとなくモヤモヤした気分でいれば、篠宮が今日は帰るとか言い出す。

慌てて引き止めたはいいが...。

あんだけ写真撮られんの嫌がってた手前、オレを撮ってくれなんて、
んな小っ恥ずかしいこと言えねぇし..。

と考えていれば、話し出す篠宮。

自分のせいで気疲れしてるから休んでほしくて、今日は撮らないということらしい。

「...オレの、為?」

それが意外で、つい呟いていれば、肯定するように頷いた篠宮。

やべぇ、嬉しいっショ。

オレは若干の照れを隠すように

「だ、大丈夫っショ。
もっかい走ってくる間に調子も戻る。
だから、今日も撮れよ、篠宮」

そう自然と篠宮の頭にポンと手を置いてそう言い、走り出していた。

「え、あ....はい」

と小さい肯定の返事に、オレの調子はすっかり戻通りだった。




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