巻島

□シャッターを押して
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翌日

「あれ、巻島せんぱい?」

なんだかいつもと違う巻島に雪乃は首を傾げた。

「なんか変。
巻島せんぱいらしくない感じ」

キラキラしてない?

雪乃がうむむと考えながら部室前にたどり着くと、金城に話しかけられた。

「どうした。何か考え事か?」

「あ、金城さん」

実はですねと雪乃は話し始めた。

「なるほど。
篠宮には巻島の調子が悪いように見えるのか」

「調子が悪いというか...巻島せんぱいらしくないなって」

「特に変わったこともないが。

....あぁ、そうだな。
巻島だけ見てやるといい」

「ん?いつもそうしてますけど..」

だって巻島せんぱいの写真を撮っているんだから。

と雪乃は首を傾げた。

「それでいいんだ」

そう金城は少し微笑んで行ってしまった。

「よくわかんないけど、今日は撮り逃さないようにしないとね」

とは言っても、今日の巻島せんぱいは、なんだか撮りたいと思えないんだよね。

どうしようかな。

そう思っていた雪乃は、巻島を見つけて駆け寄った。

「巻島せんぱい、お疲れ様です」

「よ、よぉ....」

「あの、調子悪いんですか?」

「いや、別に...」

「.....あの、今日の巻島せんぱい、いつもみたいにキラキラしてなくて。
私、今日は帰ることにしますね」

そう言ってぺこりとお辞儀をして帰ろうとしたら、巻島せんぱいに引きとめられてしまった。

「ハ...?ちょ、ちょっと待つっショ」

「巻島せんぱい?」

引き止められたのに、言葉の続かない巻島せんぱい。

「あの、きっと私のせいで余計な気疲れしてるんですよ。
だからキラキラしてないんじゃないかって。

邪魔にならないようにって写真撮ってますけど、きっと気になってしまってるんだと思うんです。

私も写真撮れないし、巻島せんぱいも休めるし、だから今日は写真撮るのお休みしようかと....」

と、つらつら理由を述べれば巻島せんぱいは

「...オレの、為?」

とつぶやいていた。

コクリと頷けば、頬をかいて明後日の方向を向く巻島せんぱい。

「だ、大丈夫っショ。
もっかい走ってくる間に調子も戻る。
だから、今日も撮れよ、篠宮」

私の頭にポンと手を置いてそう言ったかと思うと、さっと走り出す巻島せんぱい

「え、あ....はい」

と私は呆然とせんぱいを見送った。

「あれ...でも今の後ろ姿、いつもみたいにキラキラしてたかも...」

じゃあ今日も撮っていくかぁと篠宮は頷いてカメラの準備をするのだった。




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