巻島

□シャッターを押して
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その日の放課後、雪乃は早速自転車競技部の部室に向かった。

ノックをして戸を開けると金城と田所がいた。

「おお、篠宮来たか!」

「彼女が?」

「篠宮雪乃です。
よろしくお願いします」

「ああ、田所から話は聞いている。
主将の金城だ。」

手を差し出されて、雪乃は握手を返した。

「撮影の件だが、練習の邪魔にさえならなければ構わない」

「ありがとうございます!」

「にしてもよぉ、やっぱ変わってるだろ、お前」

「そうですかね?」

「人それぞれだろう、田所。
篠宮、だいたいいつもこのコースを走っている」

そう言って差し出されたのは練習コースの地図だった。

「ありがとうございます」

「巻島が本領を発揮するのは裏門坂だ」

「そうなんですね!」

「ああ、巻島はクライマーだからな」

「クライマー?」

「お前、ロードレースのこと何にもしらねぇんだろ」

「そうですね〜。
そもそも何してる部活なのかなぁってずっと思ってましたよ!」

「なるほど。
いい写真を撮るには、その物事を知る必要があると思うがどう思う?篠宮」

「うーん、まぁ言われてみればそんな気も?」

「よし決まりだ。
これから一から教えてやろう」

そう言って、他の部員が来るまでに金城のロード講座が開講されたのだった。




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