巻島
□あなたの声
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「篠宮っちが好きだ」
言った。言ったぞ、オレ。
けど、篠宮っちから反応がない。
勘違いだったか?
篠宮っちもオレを、って思ったのは。
「わるい、困らせるつもりはなかったんだけどヨ...」
そう言えば、篠宮っちは慌てて違うと言ってくれて、
「巻島くんが好きっ」
そう篠宮っちの口から聞こえた言葉にオレは我慢できずに篠宮っちを抱きしめた。
巻島くん、と呼ぶ篠宮っちに名前を呼んで欲しくて自身の名前を口にすれば、恥ずかしそうに名を呼んでくれる篠宮っち。
なんだ、コレ。
幸せすぎるんじゃねぇの?
オレも名前で呼べば雪乃の反応がおかしい。
顔を覗き込んだら、赤い頬に潤んだ目。
ヤバイ、そう思ったオレは顔を逸らしたのに、覗き込んでくる雪乃。
カワイすぎるだろ、あんな顔
「他の奴にみせんなよ」
と、独占欲丸出しのオレの言葉に
雪乃は首を傾げながら
「裕介くんといる時と他の人といる時の顔、きっと違うから大丈夫だよ」
と笑顔を向けてくる。
天然なのか?そういうの反則っショ。
オレは我慢できずに雪乃にキスを落とした。
やわらけぇ...癖になりそうだ。
そうもう一度だけキスを落として雪乃を抱きしめた。
「好きっショ」
自然と口からこぼれた愛の言葉は、
なんであんなに言えなかったんだ?
と疑問に思うくらいするりと出てきて、なんだかこそばゆいっショ。
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