巻島

□あなたの声
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帰宅して風呂に入って、さぁ寝るか。

そう思ったが、雪乃のことが浮かんで、なんとなく寝れそうにない。

「電話でもしてみっか」

そう思って携帯を手に取ると、いきなりの着信。

雪乃だ。

オレは一呼吸置いてから通話ボタンを押した。

挨拶をして、

「ところで、どうした?」

そう聞けば

「うん、もう会いたくなっちゃって」

そんなカワイイことを言う雪乃に、つい口元が緩んでヤバイっショ。

沈黙を不思議に思った雪乃からの呼びかけに

「オレも同じこと思ってたんで驚いた」

と慌てて言うと、嬉しそうな雪乃の声がした。

また口元が緩む。

明日の昼飯を一緒にどうかと誘えば、弁当を作ってきてくれるらしい。

明日が楽しみっショ。

ん?電話越しに小さなあくびが聞こえて、眠いのかと問えばオレの声が心地いいって、なんっショ、それ。

寝ようと言えば、もう少し話してたいとかカワイイわがままを言う雪乃。

いちいち可愛いすぎっショ。

けど雪乃が心配でどうにか今は寝るように説得すれば、渋々了承を得た。

クハっ、ホント頑固なやつだよなァ、雪乃は。

おやすみを言い合って、最後に

「好きっショ」

そう囁いて通話を切った。

「柄じゃねぇ、よな」

そう呟くも、言いたくてたまらなかったんだヨ、と誰にともなく言い訳してみる。

「オレ、浮かれてんのか?
ま、悪い気分じゃないっショ」

今日はいい夢を見れそうっショ。





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