巻島
□あなたの声
7ページ/12ページ
高校生らしくファミレスで夕飯を終え、オレは篠宮っちを送るために、二人で並んで歩いている。
アーなんかあれだ、まだ篠宮っちといたいっショ。
横にいる篠宮っちの様子を見れば、篠宮っちも何故かそわそわしていて、オレと同じなんじゃないかという思いにとらわれ
「ちょっと寄っていくっショ」
そう口走っていた。
「うん」
そうすぐに返事をくれた篠宮っちは嬉しそうで、勘違いしそうになる。
そこでオレの頭の中には昼間の田所っちの「告白しろ」という言葉が頭の中を木霊するのだった。
公園というベタな寄り道場所に、内心苦笑しながらオレは篠宮っちをベンチに促した。
「なんか飲むか?」
「あ、んと。じゃあココアを」
自販機がガコンと音を鳴らしてココアを放り出した。
「ん...」
「あ、ありがとう」
何か言いたそうにして、篠宮っちは飲み込んだようだった。
「気にしなくていいっショ」
そう苦笑すれば、
「だって、さっきも奢ってもらっちゃったのに...」
「オレが誘ったんだからいいんだヨ」
そうさっき言ったことをもう一度言えば、
「うん」
と一応は返事してくれたが、納得はしていないようで
「クハっ、篠宮っちは結構頑固っショ」
「だ、だって...なんか悪いから。
そ、そうだ!じゃあ何かお礼をしたいな」
そんなことを言い出す篠宮っちに、
じゃあ篠宮っちの手作り弁当が食べたいと伝えれば
えっ⁉と慌てる篠宮っち。
それがなんだか面白くて、オレはクハハと笑って言った。
「楽しみにしてるショ」
.