巻島
□あなたの声
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お昼から教室に戻ってきた巻島くんはなんだかお疲れモードに見えた。
どうしたのかなぁと巻島くんの席に向かう。
「巻島くん」
そう声をかければ
「篠宮っち、どうしたっショ?」
「あ、うーんと...なんか疲れてるのかなって思って」
はいこれ、と一口サイズの小包装されたチョコレートを差し出せば、
少し驚いたように
「...サンキューな」
と巻島くん。
「疲れた時は甘いものだよね〜。
まだ欲しかったらあるから言ってね」
そう言ったところで本鈴が鳴り先生が教室に来たので、席に戻った。
席についてもう一度だけ巻島くんを見れば、なぜか巻島くんもこっちを見ていて目が合ってしまった。
とりあえず笑顔を返せば、滅多に見れない巻島くんの笑みを向けられて、授業中ドキドキが収まらなかった。
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巻島side
昼休みが終わり教室に戻れば、篠宮っちが声をかけてきた。
どうしたのかと聞けば、オレが疲れているように見えたからとチョコをもらった。
お礼を言えば、まだあるからと笑顔で告げる篠宮っち。
今の笑顔でさっきのダメージをだいぶ回復したっショ。
チョコを口に含んで、そっと篠宮っちを見れば目があった。
そしたらどうだ。
またオレの好きな笑顔を向けてくれる篠宮っち。
今日は最高かヨ。
そう思ったオレの顔は多分緩んでいたはずだ。
田所っちにあとでなんか奢るか。
そう思うほど、さっきまでの疲れは消え去っていて、代わりに何とも言えない暖かい気分で、授業なんてあっという間に過ぎていった。
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