巻島

□あなたの声
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オレには好きなやつがいる。

同じクラスでチャリ部のマネージャーである篠宮雪乃だ。

1年の時に一目惚れしたんだが、3年に至る今まで関係は進展しない。

「巻島、オマエよぉ」

「んだよ、田所っち」

昼飯を田所と食べていれば、唐突に話し始める田所。

ちなみに金城は委員会で遅れている。

「篠宮とはどうなんだよ」

「どうって....なにも」

「オイオイ、いいのか?
誰かに掻っ攫われる前に告白しちまえよ」

「そんなこと言ったって田所っち。

オレなんかを好きになってくれるわけないっショ」

「んなことないんじゃねぇか?

にしても篠宮の何がいいんだ?」

「....か、カワイイ...ショ」

「まぁ見た目はいい方か?」

「一所懸命なとことか...」

「まぁなぁ...」

「一番はアイツの笑顔が..イイっつうか..」

「笑顔ねぇ」

何とも微妙な反応の田所っちに続いて、突然金城の声が響いた。

「なんだ、篠宮のことか?」

「ショォォ‼?」

「なんだ金城か、遅かったな」

「話し合いが長引いてな。
で、篠宮の話か?」

「ああ」

そう返事をすれば

「男は視覚で恋をするらしい」

と金城。

「あ?なんだそりゃあ」

田所っちがわけわかんねーと疑問の声を上げた。

「簡単な話だ。
見た目が好みかどうかという話だ」

「ほぉ。ま、いい例が巻島か」

グラビア好きだもんなぁと田所っちはガハハと笑っている。

「だから笑顔や見た目が好印象なら恋にも落ちると言うわけだ」

「へぇ」

「判断材料の一つというだけだがな」

「ま、なんで好きかはわかったが。
告白はいつすんだよ、巻島?」

「....それ蒸し返すんショ...」

この後の昼休み全部、田所っちに告白しろと散々言われ続けるはめになったオレは若干疲れて昼休みを終えたのだった。





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