シリウスブラック
□いつのまにか君が好き
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今頃うまくいっただろうか
そう親友とルナの事を思い浮かべながらティータイムを過ごしていたリーマスは、勢いよく走っていくルナの姿を見かけて慌てて呼びかけた。
「ルナ⁉」
そんな声が聞こえていないだろうことは一瞬見えた涙で理解したリーマス。
追いかけた先には、すでにルナが姿くらましで姿を消した後だった。
一体どうしたというのだ。
「とりあえずミスマクゴナガルに連絡をしなくては」
リーマスは急いで暖炉に向かい、マクゴナガルを呼び出した。
「ミスタールーピン、どうかなさいましたか?」
「いえ、それが....ルナが姿くらましでどこかへ行ってしまいまして」
「ルナが?
わかりました。わたくしが探してきましょう。
あの子が行く場所なんて決まっています」
「すみません、よろしくお願いします」
報告を終えてため息をついた頃、うな垂れたシリウスがリーマスの前に現れた。
「シリウス、一体どういうことか説明してもらえるかな?」
「リーマス.....」
憔悴したシリウスは、リーマスの笑みにさらに顔を青ざめさせた。
「ルナが飛び出していった原因は、シリウス、君だろう?」
「........」
「ルナは君に気持ちを伝えに行ったはずだ」
「知っていたのか」
「当たり前だろう?相談を受けていたんだから」
「相談って....」
「君の気持ちを知った後だよ、ルナが言ったんだ。
君のことをちゃんと考えると、
恋愛の経験が無いから答えを出すのを手伝って欲しいって。
そうルナは言って、君がルナを避けている間中ずっと考えていたんだ、今日までずっと」
「何日経ってると....」
「そう、ルナは君の気持ちにしっかり向き合おうとしたんだ。
何日もかけて。
それなのにシリウス、君はルナを傷つけたんだろう?」
なんて言ったんだと攻め寄るリーマスに、シリウスは苦しそうに答えた。
「後悔しないのか、
私なんかではなく同じ歳で同じ景色を見れる他の誰かがいいのではないか?
そう、言ったんだ」
「君は......本当に世話がやける」
「リーマス?」
「ルナは必死に考えたんだ。
その上で彼女がシリウスを選んだんだ。
後悔なんてするはずないだろう?
ルナは浅はかな子じゃないよ、シリウス」
「私は....」
「君が臆病になるのもわかる。
私も一緒さ。人狼だからと逃げてきた。
だが、君は10年以上もあの監獄で耐えたんだ。
もう、自由に何かに囚われずに過ごしたっていいはずだ。
そう私は思うよ、シリウス」
「.....でももう遅いだろう、リーマス。
ルナが私のところへ戻ってくることは無いさ」
「後悔してるなら、次にルナがシリウスの前に現れたら手放さないことだよ。
ルナが何と言っても」
「ああ、そうだな。リーマス」
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