シリウスブラック
□いつのまにか君が好き
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後日、またコーヒーを淹れて持って行くと、やはりビクッとしたルナだったが、今回は合った目が逸らされることはなかった。
ルナの目に吸い込まれるんじゃないかと錯覚するくらいの澄んだ目に、シリウスは一度視線を外してルナに話しかけた。
「宿題は順調か?」
「...はい」
「ルナは成績が良いって聞いたんだが...
ハリーの宿題を見てやってくれないか?」
そうシリウスが聞くと
「ハーマイオニーが....」
とか
「貴方もいるし...」
と小さな声が聞こえた。
要するに自分ではなくて良いだろうって事だと理解してシリウスは頷いた。
「そうか。そうだな。」
それから沈黙が続きシリウスは
"人見知りとはいえ、私が怖いんだろう"
と仕方ないことながら落ち込み
「私が怖いか?」
そう小さく呟くように言った。
ハッと顔を上げたルナは、慌てて首を振った。
「あ、あの...」
こうまで言われても緊張してうまく喋れない自分にルナは情けなくなった。
「気にしなくて良い。
何せ少し前までお尋ね者だ。
怖くて当然さ」
シリウスの自嘲気味な言葉にルナは必死に首を振った。
"あぁそうか、この人はそういう事を気にしてしまうのか"
と、ついこの間までこの人がアズカバンにいたんだという事を思い出してルナは申し訳ない気持ちになって慌てて言葉を紡いだ。
「ち、違うんですっ...
ひ、人見知りなんです...情けないんですけど」
その言葉にシリウスは首を傾げた。
「リーマスとは喋ってないか?」
「リーマスとは...最初から話せるの、落ち着くっていうか...」
ルナがリーマスを思って言葉を紡ぐその安心しきった表情がシリウスを複雑な気分にさせた。
「そうか...」
それだけ言うと、シリウスはルナの側を離れて、ダイニングテーブルのところに一人座るのだった。
"とりあえず怖がられても、嫌われてもないのがわかったから良しとするか..."
複雑な心境のままのシリウスはそう思うのだった。
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