シリウスブラック
□いつのまにか君が好き
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賑やかになった我が家がシリウスには嬉しかった。
騎士団の仕事は出来ずにイライラする事もあったが、親友の忘れ形見であるハリーと共に過ごせるこの夏は、シリウスにとって至福の時だった。
が、シリウスには少々気になることがあった。
"また勉強してるな..."
シリウスはリビングのソファーのある一角で教科書やら羊皮紙やらを広げている少女に目をやった。
彼女はいつもあんな風に1人でいるのだ。
ハリーに聞けば学校でもそうらしく、かといって友達がいないわけでもないようなのだが、やはり1人でいることが多いという。
ハーマイオニー曰く"極度の人見知り"なのだという。
そんな17歳も年下の少女から目を離せない自分にシリウスは苦笑した。
"コーヒーでも淹れるか"
そう内心で一つ頷いて、シリウスはキッチンへと足を運んだ。
コーヒーを持ってそっとルナのいるテーブルへとシリウスは近づいた。
「少し休憩したらどうだ?」
コーヒーを差し出しながら言えば、ルナはびっくりしたようにシリウスを見上げた。
パチリと目が合ったかと思えばバッと視線を逸らされ、シリウスは苦笑した。
「ここに置いておく」
そう言ってその場を去ろうとすれば
「あっ....ありがとう、ございます」
と慌てたような声。
シリウスは振り返らずに軽くひらひらと手を振ったのだった。
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