シリウスブラック

□初恋
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新学期早々のグリフィンドールの談話室。

窓際の席でルナは一人宿題をしていた。

いつも一緒にいる友達は選択している授業に出ているところだ。

"なんだか静かだなぁ"

そう顔を上げてぽけーっと窓の外を眺めながらルナは思った。

「あぁ、珍しく彼等がいないのか」

ポツリと呟いて、ルナは彼等を思い浮かべた。

自らを悪戯仕掛人と称して、面白おかしい悪戯を毎日のように仕掛けている彼等。

ジェームズ・ポッターにシリウス・ブラック、リーマス・ルーピンにピーターペティグリュー。

ことジェームズ・ポッターとシリウス・ブラックが談話室にいると賑やかなのだ。

「ポッターはリリーと同じ授業かしら...」

飽きもせず毎日会うたびにリリーに愛を囁いている...否、愛を叫んでいるジェームズ・ポッター。

リリーと同じ授業を選択していてもおかしくはない。

「好きになるってどういう気持ちなんだろう...」

ルナは呟いて、止まっていた手を動かそうと視線を机に戻そうとして固まった。

いつからいたのだろうか?
隣でシリウス・ブラックがルナを見つめていた。

無視するわけにもいかず、さして話したこともないシリウスにルナは声をかけた。

「いつからいたの?ブラックくん」

「ん?

アシュレイが窓の外を見ながらぼーっとしてた辺りだな」

それからとシリウスは続けた。

「ブラックって呼ばれるの好きじゃないんだ」

「あ、そうなんだ。

ごめんね、シリウスくん」

ルナは謝ってから

「えっと、それで何か用だった?」

そう問いかければ、

「いや、ルナが綺麗だったから見てただけ」

そんな言葉がルナの耳に届いた。

「え............え??なに、言って...」

ルナは数秒理解できずに固まった。

徐々に理解が追いつけば、顔が熱くなる感覚に

"あぁ、絶対顔真っ赤だ.."

どうしよう、とシリウスから顔をプイと逸らした。

するとシリウスがかすかに笑う声がして

「なぁルナ」

そう低く落ち着いたシリウスの声がルナの名前を呼んだ。

「こっち向いてくれないか?」

シリウスの声が耳を打つたびにドキドキと鼓動が早くなって、ルナは更に顔を赤くした。

"な、何これ"

ルナは経験したことのない感覚に内心パニックになっていた。

「なぁ、ルナ」

顔を向けないルナを微笑ましそうに見ながら

「今日の夕飯一緒に食べないか?」

シリウスはそう言った。

とにかくこの状態から解放されたくて、ルナはコクリと頷いた。

「じゃ、楽しみにしてる。

18時に談話室で」

ルナの返事にそういうや否や、シリウスはどこかへ行ってしまった。

ルナはシリウスの声と視線から解放されて、落ち着きを取り戻した。

また窓の外を眺めて少ししてから


「もしかして、これが恋?」


そう呟くのだった。






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