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□本好きの下剋上
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フランの憂鬱


「フラン?どうかしましたか?」

何やら少し様子のおかしいフランへとローゼマインは問いかけるも、答えは決まって
「なんでもないのです」

と帰ってくる。


ユルゲンシュミットは崩壊を免れ、ツェントも立った。

アレキサンドリアも落ち着き、専属たちだけではなく、エーレンフェストで待たせていた者たちをアレキサンドリアに呼び寄せて時間もたち、こちらもまた落ち着いてきた頃合いのはずなのだが。

何か問題が起こったのだろうか?



まったく原因が分からずにローゼマインは首を傾げた。

神殿で問題は起きていないと思うのだ。

ハルトムートからの報告にも特に気になる点も無い。

フランの周囲で何か問題は無いかと問いかけてもそれらしき問題は浮かび上がってこない。

いったいどうしたのだろうか。

ローゼマインはテキパキと仕事をこなすフランの背を見つめた。


突き刺さる視線に、フランは苦笑した。

これは自分の心配事は杞憂だったということだろうと、ここ数日続く主の心配そうな視線を背に受けながらフランは思った。


理由を上げればこうだ。

ローゼマイン様はアーンヴァックス様のお力で大きく成長され、アウブとしてアレキサンドリアでもご活躍されている。

周りにも優秀な側近や側仕えたちがいる。

後から呼ばれた自分は、果たしてまだローゼマイン様に必要とされる人間なのだろうかと。

こんな理由で主を煩わせるのも申し訳ないと正直にそう理由を申し上げるとローゼマイン様はピシっと

「フランがいらないなんてこと絶対にあり得ませんからね」

と言い切ってくださいました。

「第2の家族のようなものです。

フェルディナンドもフランを大切に思っていますよ」

そう言ってくださったローゼマイン様に、私はこの上ない幸せを感じたのでした。

主にここまで言っていただけるなど従者冥利に尽きるというものです。

フランは何があってもローゼマイン様とそしてフェルディナンド様に付いて行き、誠心誠意お仕えしようと改めて心に刻み込んだのだった。



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ツイッター「ほんずき冬まつり2019」企画のあいうえお作文(ふゆまつり)をフランで書いたもの。

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