箱学

□解けない魔法
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合宿が終わってすぐ。

真波からの連絡を告げる着信が雪乃の携帯に届いた。

「雪乃さん、こんにちは。

今日もいい山でしたよ!」

開口一番、そんな言葉が飛び込んできて、雪乃は首を傾げた

「今まで山を登ってたの?」

「そうですよ」

「今日は学校お休みなの?」

「そんなわけないじゃないですか」

「だよ、ね.....」

雪乃はとんでもない後輩を持ったものだと、東堂を思い浮かべて苦笑いした。

「授業、休んだんだ?」

「そうなりますね」

へらりと笑った真波の声が電話越しに聞こえた。

「ダメだよ?

授業はちゃんと出ないと」

「なんだか委員長や東堂さんみたいだ」

そう呟いた真波の声に

当たり前でしょう?

って言おうとした雪乃の言葉は

「それより、雪乃さん」

という真波の声にかき消された。

「日曜日は暇ですか?」

「日曜日..?

午後なら空いているけど」

「それで大丈夫です!

日曜日は自主練なんで、時間は合わせます」

それじゃあ日曜日にそっちに行きますから!

と一方的に告げられて電話が切れた。

「マイペースすぎない?」

雪乃はまた苦笑いして、それでも憎めない真波のキャラになんとなく温かい気持ちになって、クスリと微笑んだのだった。






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