箱学

□私を見つけて
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「おはよう、篠宮さん」

「おはよう、東堂君。練習お疲れ様」

「ありがとう。

篠宮さんに労われると、疲れが無くなるようだ」

廊下で挨拶を交わせば、周りがざわめいた。

「気になるかね?

このオレが今日もカッコいいと視線は釘付け...

って新開!

女子の視線を奪うな!視線を!」

「ん?どうかしたか?尽八」

そうバキュンポーズを決めながら振り返る新開の後ろから真波がひょっこり姿を現した。

「先輩、ちょっといいですか〜?」

「む、真波か。何故こんなところに」

「先輩にお願いがあって.....

って、東堂先輩の彼女ですか?」

と雪乃を見て真波は爆弾を落とした。

「あ、私は篠宮雪乃です。

よろしくね、真波君?」

「よろしくお願いします、雪乃先輩」

あれ?彼女って否定しないから先輩の彼女なのかな?まぁいいか。

とニコニコ顔の真波は東堂に向き直って

「それで先輩、今日部活遅れて行ってもいいですか?

山が呼んでるんです!」

「いいわけなかろう⁉

真波、おまえってやつは...」

「えー、いいじゃないですか〜今日くらい」

「真波、今日だけじゃないだろう、今日だけじゃ」

全く、なんでこんなやつが女子に人気なのだ!
ビジュアルか?やはりビジュアルなのか?

そう周りの“真波君可愛い”とか“真波くんカッコいい“とかの囁き声を拾って東堂は思った。

「ふふっ」

「篠宮さん?」

「ごめん、面白くって。

だって東堂君....ふふふ、ふふっ

ふー、はは...お、お腹痛いっ..ふふふっ」

笑い続ける雪乃に周りは驚いていた。

「おめさん、そんなふうに笑えるんだな」

「雪乃先輩はもっと違うイメージな気がしたんですけど、
その笑顔は素敵ですね〜」

と新開と真波に続いて、

「篠宮さんってもっと大人なイメージだったけど..」

「私たちと変わらないのかなぁ?」

「あんな風に笑ってるの珍しいよね」

そんな風にちらほらと聞こえてくる声

「ほら篠宮さん、オレの作戦に狂いはなかったな!」

ワッハッハと笑う東堂

「で、篠宮さんは何がそんなに可笑しかったんだ?」

「え?.....東堂君たちのやりとりが漫才みたいで面白くって。

あと、東堂君ツッコミなんだって思ったら..」

「それって尽八がボケだと思ってたってことかい?」

「む?それは心外だな」

「東堂先輩は、両方行けますよ!ね、先輩」

「いや、そもそも漫才などしておらんからな?真波」

「そうでしたっけ?」

「ふふっ、やっぱり面白い」

とぼける真波に、また雪乃が笑えば

「まぁ、篠宮さんが笑ってくれるならなんでもいいか」

と東堂は言い

「篠宮さん、これを続けたらきっと解決だな」

「そうかな?そうだといいな」

笑いかけてくる東堂に雪乃も笑顔で返せば、周囲はまた騒めくのだった。

けれど雪乃はあまり気にならなくて、本当に解決するかも
と、少し心が軽くなっていたのだった。





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