箱学

□私を見つけて
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数日後、東堂のクラスに雪乃が現れ、クラスが騒ついた。

「東堂様に篠宮さん」

「絵になるわね」

「悔しいけどお似合いよね」

「やっぱり東堂かよ」

「でも東堂だもんなー」

「仕方ねぇよな」

「篠宮さんが相手なら諦めもつくね」

と、もう付き合っているかのような騒めき。

「すまんね、篠宮さん。
騒がしくて」

この美形だろう?どうしても目立ってしまう。

そう東堂は言ってから雪乃と共に教室から移動した。

「東堂君、本当にこの前はありがとう。

急に具合が悪くなってしまって..」

「いや、たまたま通りがかって良かった」

「それで、お礼をしたいんだけど」

「この間も言ったが、気にしなくていいのだぞ」

「でも、どうしてもお礼がしたいの」

そう言った雪乃に東堂はワハハと笑った。

「篠宮さんは本当に頑なだな」

「だって、あんなに迷惑をかけてしまったのに」

「迷惑だなどと思っておらんよ。

だがどうしてもと言うなら、この間言った通り一緒に昼でもどうかな?」

「それじゃあお礼になんてならないと思うんだけど」

「いや、オレはずっと篠宮さんと話してみたいと思っていたんだ。

だから篠宮さんの時間をオレのために少し欲しいというのは、
十分なお礼になると思うのだが?」

東堂がさらりとそんな事を言うので、雪乃は一瞬遅れて頬を染めた。

「どうかな?篠宮さん」

「ぁ.....うん、そっか」

「オレは今日でも明日でも構わんよ」

「私もいつでも..

あ、待って、明日でもいいかな?」

「わかった明日だな。

クラスに迎えに行っても構わないだろうか?」

「うん、問題ないわ」

「それじゃあ、篠宮さん、また明日」

そう言って帰っていく東堂の背中を見送った雪乃は、

モテるの、良くわかるな

と思うのだった。

翌日、雪乃は早起きをしてお弁当を作って、お昼に備えた。

昼休みになるとすぐに東堂が雪乃の教室に現れて、昨日の東堂でのクラスと同じような騒めきが起こった。

「篠宮さん、行こうか」

「うん」

食堂へ向かおうとしているであろう東堂のブレザーを引いた雪乃は

「お弁当、作ってきたの」

と思いの外声が出ていなくて、聞こえたかどうか少し不安になった。

「ん?
篠宮さんが作ってくれたのか?」

しっかり聞こえていたようで安心した雪乃だったが、急に恥ずかしくなって俯いた

「そ、そうなんだけど...

東堂君はアスリートだから、食事管理もしてるよね」

「普段は確かに気を使っているが、たまに部活のメンバーとファミレスに行くこともあるし、

何より篠宮さんが折角オレのために作ったものを食べないなんて選択肢はないな」

「そっか」

「それじゃあ、屋上はどうだろう?

今日は天気もいいしな」





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