箱学

□私を見つけて
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「あのね、実は....その、女の子の日なの.....」

「そうか、原因がわかっているなら良かった。

どうしたらいい?」

「あの、痛み止めを友達が持ってて、私の部屋にもあるんだけど..」

「なるほど、少し待っていてくれ。

薬をもらってくるからな」

そう言った東堂はまた駆け出していた。

10分後、東堂が薬と水を持って現れた事に雪乃は驚いた。

薬、どうやって...

「早く飲むといい。

少し楽になったら寮まで送ろう。

その前に教室に忘れ物を取りに行っても構わないだろうか?」

「あっ、うん、もちろん」

忘れ物を取りにきていたのかと雪乃は申し訳なく思った。

早く寮に帰って休みたいだろうにと
雪乃は何度か見かけたことのある自転車競技部の練習を思い出して思った。

「あの、東堂君、ごめんね?」

「篠宮さんが謝ることはない。
オレがしたくてしていることだ」

それに具合が悪いのを放ってはおけんだろう?

そう優しく言ってくれる東堂に、雪乃は一瞬見惚れた

「あ....ありがとう、東堂君」

「うむ、では少し待っていてくれ。
すぐに取ってこよう」

そう言った東堂は自身の教室へと忘れ物を取りに向かった。


それにしても、と東堂は思った。

女子は毎月あんなに大変なのか

確かに姉も少し体調が悪そうなことはあったが..

あそこまでではなかった気もするが

「急ごう」

東堂は雪乃の体調が気になり
急いで戻るのだった。



「東堂君、本当にありがとう」

「かまわんよ。
それよりも早く部屋で休んだ方がいい」

「うん、そうする。

あの...今度お礼をさせてね」

「大したことはしていない。

気にすることはないぞ?」

「でも....」

気にした様子の雪乃に東堂は

「それでは今度一緒に昼でもどうかね?」

「え?」

「篠宮さんと少し話をしてみたいと思っていたのだ」

「あ、うん.....え?」

「それじゃあ、早く休むのだぞ!」

それはお礼になるのだろうかと雪乃は思ったが、東堂の言うようにもう休もうと自分の部屋へと戻ったのだった。

元気になってから、考えよう..。



少し調子の良くなった雪乃を女子寮の前まで送り届けた東堂は、
雪乃の事を思い出していた。

結構、頑固なところがあるのだな
具合が悪いと言うのに引かなそうな様子を思い出して、東堂は苦笑したのだった。



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