箱学
□私を見つけて
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篠宮雪乃といえば同学年、いや全学年の男子が知っているだろう美人で有名な女子だ。
オレも何度か見たことはあるが、この3年間クラスが同じになることも会話をする機会もなく、実際はどんな人物なのかオレは知らない。
だから正直興味はあった。
が、この状況は...
と東堂は少し焦っていた。
放課後の練習終わりに忘れ物をした東堂が教室へと戻る途中で雪乃を見つけたのだ。
「篠宮、さん?」
廊下にしゃがみ込んでいた雪乃に東堂は声をかけた。
「.....とう、どう君?」
おぉ、篠宮さんがオレを知っていた!
流石、東堂尽八!この美形を...
と思考しかけて、東堂は中断した。
それどころではない。
「大丈夫か?
具合が悪いなら保健室...
いや、もう閉まっているか。
寮生か?寮まで送ろう」
「ありがと、その...友達呼んでくれると助かる」
と小さく友達の名前を言った雪乃は携帯を出した。
「わかった」
一言東堂は答えて、アドレス帳を引っ張り出して電話をかける。
が、あいにくと電話は繋がらなかった。
「うむ、出んな」
雪乃を見て、どうしようかと思案した。
お腹を押さえているから腹が痛いのだろうな
「篠宮さん、少し待てるか?」
「あ、うん...」
肯定の返事を聞いた東堂は自販機へと駆けた。
とりあえずと、温かい飲み物を数本買って東堂は篠宮の元へと戻った。
「篠宮さん、とりあえずこれで温めてくれ」
楽になるだろうか?
と東堂の問いかけに雪乃は驚いていた。
「ありがとう.....なんで」
「お腹を押さえていたからな、腹痛の時は温めた方がいいだろう?
それと床に直に座り込むのもよくないな。
体が冷える」
そう言って東堂は来ていたカーディガンを床に敷き、ブレザーを雪乃に羽織らせた。
「ありがとう、東堂君」
ここまでしてくれた東堂には原因を言わなければと雪乃は口を開いた。
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