箱学

□私を見つけて
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窓の外をぼーっと見つめる。


1人になりたいなぁ


教室のざわめきの中、雪乃は窓際の自分の席でそんなことを思っていた。

別に人付き合いが苦手なわけではないのだが、雪乃は見た目が良い方で男女問わず声をかけられることが多い。


正直、疲れる


そう雪乃が
ほぅっとため息をひとつつけば、
クラスの男子は雪乃に釘付けだ。

窓の外を眺める姿が儚くて、そのため息をつく姿が憂いを帯びていて、他の女子とは少し違う大人っぽい雰囲気に男子たちは今日も虜だ。

そんなこととはつゆ知らない雪乃は、また一つため息を落とした。

そういえば、彼は疲れないのだろうか
そんなことを唐突に思った。

同学年で、いやこの箱根学園で知らないものなどいない人気者の東堂尽八君。

彼はファンクラブまであって、いつもファンサービスをきっちりしている。


1人になりたいとかないのかなぁ

あんなに声をかけられたり見られたりして疲れることはないのだろうか

いやでも、疲れていたとしてもあのサービス精神、尊敬に値するな
私にはちょっと難しい


そう思う雪乃だが、無愛想で無口というわけではない。

実際声をかけられれば笑顔とまではいかなくとも微笑みを浮かべて対応しているのだから、人気は上がる一方で

それを無自覚にやっているものだから、雪乃自身は何故こんな自分に声をかけてくる人が多いのかと疑問に思うのだった。


やっぱり見た目ってことなのかな


美人な母親譲りの見た目は、まぁ多少自身があるのは否めない雪乃はそう結論を導く。


東堂君も見た目はすごく良いものね

中身を見てくれる人がいたら、少しはこの憂鬱な気分が減るかしら


雪乃は少しだけ目を瞑って、
さ、今日も頑張ろう
と、うだうだ考えてたものを一気に頭の隅に追いやったのだった。





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