箱学
□一目惚れ
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翌日、拾ってしまったものは仕方がないと、生徒手帳を返しにいくべく青い髪の彼、真波山岳のクラスへと雪乃は向かっていた。
ちなみに名前は生徒手帳を見て、さらにクラスは張り出されてたクラス表から探したのだ。
「真波君いますか?」
新入生のクラスに上級生というだけでも目立つのに、上級生の女子が男子を訪ねたものだからクラスは大騒ぎだ。
「おい、真波にお客さんだぞ」
「誰だよ!」
「え、まさか彼女じゃないよな?」
「俺付き合いたいっ!」
うるさい男子を避けて、メガネの女の子が雪乃の前に来て
「山岳に何か用ですか?
まだきてないんですけど...」
「あ、そうなんだ?
これね、昨日偶然会った時に落としていったの」
そう生徒手帳を見せた雪乃に
「そうだったんですか。
あの、良かったら渡しておきます。
私、幼馴染で家も隣なので」
と意気込む彼女。
「そうなんだ。
なら学校で会えなくても渡してもらえるね。
お願いしてもいい?」
「はい」
「それじゃあ、お願いします」
そう言って去ろうとすれば
「あ、あの!
名前とクラスを教えてください」
と引き止められた。
「え?」
「あいつに、山岳にお礼させに行くので!」
「え?そんなのいいよ、気にしないで」
「そうはいきません!」
と、その後、どれだけ真波に常識がないというか、いつも遅刻だったり提出物出さなかったりなのかを力説された。
宮原さんと名乗った彼女は、真波のお母さんにも頼まれてるからと、
お礼はさせます!と意気込んでいて、
雪乃は熱意に負けて仕方なく名乗ったのだった。
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