箱学

□一目惚れ
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真波からキスをされた雪乃はポーっと真波を見上げていた。

「雪乃さん?

そんな顔で見られると、俺、我慢がきかなくなっちゃいますよ?」

その言葉にハッとした雪乃は真波から慌てて視線を逸らした

「雪乃さん。

嫌がらなかったってことは....俺のこと、好きになってくれた?」

「それは..」

「じゃあ、嫌い?」

「そ、そんなことっ...!」

と、雪乃は真波に顔を向けた
すると、

「俺は好きだよ、雪乃さん」

そう言った真波は雪乃に再度キスを落とした。

「ねぇ、雪乃さんは?」

甘く微笑まれて雪乃の心臓がドキドキと高鳴った

「わ、私......」

怯える心と失う事への恐怖、真波への気持ちがせめぎ合って、雪乃は涙を零した

「すき.....真波くんが、すきっ」

「うん、嬉しい」

真波はそっと雪乃を抱きしめて

「ねぇ、雪乃さん。

俺、雪乃さんが不安にならないように頑張るから。

雪乃さんも不安があったらすぐに言ってね」

泣き続ける雪乃をあやすように背中を撫でる真波。

「俺、雪乃さんに絶対嘘はつかないから」

「うん.....ありがとう、真波くん」

そう言って、雪乃は微笑んだ。

「自転車にかまけて、放っておくことも多いかもしれないけど...

でも、ちゃんと雪乃さんが好きだから、不安になったら言ってね?

すぐに会いに行くから」

「うん、ありがとう。

真波くんはアイツとは違うもん。

こんなに待ってくれて、それでも好きって言ってくれる真波くんだから、信じられるし。

それに自転車乗ってる真波くんかっこいいから頑張ってほしいな」

そこまで言って、恥ずかしそうに俯いて

「だからね、たまには...練習、見に行ってもいい?」

俯いた顔を上げて真波を見つめてくる雪乃に、真波は

「毎日でも来てほしいかな」

そう笑顔で言ってから

「でも、そういう可愛いこと言うと、襲われちゃうよ?」

ニコリと微笑んでから、真波は雪乃に口付けた。

「ま、真波くんっ...」

「だって、可愛い雪乃さんが悪い」

「そんな...」

「キス、いや?」

「そ、そういうわけじゃ...ないけど」

恥ずかしい、といえば

「だから、そういう可愛いこと言ったらダメだよ、雪乃さん」

クスリと笑った真波に雪乃はまたキスを落とされた。

トロンとした顔の雪乃に

「俺、練習行くね。

これ以上いると襲っちゃいそう」

放課後待ってる、
そう言った真波は雪乃に手を振ると、空き教室をさっと出て行ってしまった。

雪乃はしばらくぼーっと余韻に浸って、その場を動けなかった。






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