箱学

□私が思うよりも
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「雪乃チャン、お疲れー」

「えっ!靖友くん⁉」

「おー」

「お疲れ様!
珍しいね?ご飯の時間がかぶるなんて」

「そうだネ。
折角だし一緒に食べよーぜ?」

「うんっ、もちろん!」

と、忙しい靖友くんとお昼をしようと学食に来たのに...

誰よ、その子。

私がBランチを持って戻ると、先に席についていた靖友くんの隣には知らない女の子。

しかもべったりくっついている。

「篠宮、どうかしたのか?」

立ち尽くしていた私に後ろから声がかかった。

「あ、金城君。
えっと.....」

私の見ていた方向を一瞥して

「なるほど」

と金城君は一言発して

「篠宮、今泣けるか?」

なんて女優並みの演技を要求してきた。

「え?
あ、うん....本当に泣きそうだし...」

「よし。後は話を合わせるんだ、いいな」

そう言った金城君の手が私の顔の横に添えられて、顔が近づくと同時に、
ガタンと大きな音が響いた。

わけもわからないまま、とりあえず金城君のオーダーをこなすために
さっき見た光景を思い出して、泣きそうなのを堪えるのをやめた。

ホロリ、と頬を涙が伝ったと同時に靖友くんの声が響いた。

「オイ、金城、テメェ...!」

「どうかしたか?荒北」

「今、何しやがった⁉」

「目にゴミが入ったというから見てやったんだが?」

「ハァっ⁉」

ギロリと靖友くんの視線が私に向いたので、おずおずと私は頷いた。

「チッ、ま、紛らわしーんだよ...」

と少し気まずげに言った靖友君。

「靖友くん?」

「で、雪乃チャンはなんで泣いてんの?」

「え?あ、ゴミが...」

「本当に、そんだけ?」

「荒北、身に覚えがあるんじゃないのか?」

「アァ?ンなもん...........アー、あれか...」

少し席を振り向いてため息をついた靖友くん。

「俺だって迷惑してるつーの」

「え?」

「彼女いるつってんのに、しつけーんだよ、アイツ」

「見せつけてやったらどうだ?」

「....なるほどネ。それいいじゃナァイ」

ニヤリと笑った靖友くんと、やれやれといった様子の金城君。

「篠宮、頑張れよ」

そう残して、金城君は別の席へと向かい、私は靖友くんの待っていた...あの女の子のいる席へと靖友くんに連れていかれた。

ねぇ金城くん、何にも解決してないんだけど...!

と心の中で私は叫んだ。





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