箱学

□真波
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愛の大きさのせい



昼休みの空き教室


「雪乃さん、俺言いましたよね?

他の男子と話さないでって」

と、雪乃を教室の壁際に追い詰めて言うのは彼氏である真波山岳。

「え、うん...でも、委員会だし話さないわけにも...」

「そんな雪乃さんにはお仕置きです」

ニコッと笑っているが、こういう時の真波くんはよくないことを考えている。

「ま、真波く...」

「さ・ん・が・く、でしょ?」

「山岳くん....ごめん、気をつけるから」

「ダーメ。

雪乃さんは俺のなんだから。

もうちょっと自覚してください」

そう言って鎖骨のあたりに顔を埋める真波

「ひゃっ..」

「動かないで」

吐息が首元にかかって雪乃の身体にゾクッとした何かが駆け巡って

「ぁっ...」

チュッという音とともにチクリとした痛みが走り雪乃は声をあげた。

「いい声」

真波は上機嫌そうに言って

「これ、雪乃さんが俺のっていう印」

そう鎖骨あたりを指差す真波。

それはいわゆるキスマークだと気がついた雪乃は頬を染めた。

「うん、いいね」

雪乃のそんな反応を満足げに見て、真波は雪乃を抱きしめた。

「お仕置きは終わり。

ねぇ雪乃さん」

「うん?」

「俺のこと好き?」

「うん、好きだよ山岳くん」

「俺も雪乃さんのこと好き」

そうだ雪乃さん、という真波の呼びかけに雪乃が顔を上げれば

「ね、今日も練習見に来てくれるんだよね?」

「え?うん」

「じゃあ、東堂さんとかに話しかけられても話しちゃダメですからね?」

「で、でもそれは失礼なんじゃ..」

「俺が一緒にいるときは話してもいいですから、ね?」

「う、うーん」

「俺、雪乃さんが心配で走れないよ?」

「そんなぁ...わかった。努力します」

「うん、ありがとう」

そう微笑んだ真波は雪乃にとびきり甘い口づけを落とした。

「俺、キスした時の雪乃さんの顔好きだなぁ。

だから、もっとしよう?」

そう言う真波はなんだか甘くて可愛くて、雪乃は絆されて真波が気の済むまでキスを繰り返したのだった。

きつい束縛も許せてしまうのは、それだけ彼の愛が大きいから

「愛してます、雪乃さん」

耳元で囁かれた声。

ほらこうやってすぐ私の心をさらって、他のことなんてどうでも良いって思わせられるのは愛されているから。

すぐ絆されるのも、私が山岳を愛しているから。

「大好きだよ、山岳くん」

「ずっと離しませんから覚悟してくださいね、雪乃さん」






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