箱学

□キミの前では格好がつかない
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「ん?あれは」

廊下を歩いていた新開は窓の外を見て呟いた。

「どうした?隼人」

「あれ雪乃ちゃんだろ?」

「む?」

東堂が外を見れば確かに雪乃だった。

あと男子生徒が一人。

「ありゃ告白だなー」

そう新開は呑気そうに言うが

「ならん、ならんよそれは!」

そう東堂はにわかに焦り始めていた。

「オレはどうすればいいんだ新開!」

「どうすればって、おめさん...」

そう新開は呆れた。

普段女の子のファンにキャーキャー言われ慣れている東堂尽八だが、こと好きな子相手には切れるはずのトークも切れない。

あの自信満々な東堂尽八はどこへ行ったんだと新開はいつも思う。

「まずあの場から雪乃ちゃんを掻っ攫って

おめさんも告白すればいいんじゃないのか?」

ほら、雪乃ちゃん困ってるようだぞ?

と言えば、

なにっ⁉

とものすごい勢いで雪乃ちゃんの様子を伺うと東堂は駆け出してしまった。

ま、どうにかなるかと新開はパワーバーを取り出して一口かじった。






「雪乃ちゃんっ」

そう走って駆けつけた東堂に、雪乃も相手の男も驚いているようだった。

「東堂くん?」

「すまないね、キミ。

ちょっと彼女に急用でね、彼女を借りるよ」

そう言って東堂は雪乃の手を引いた。

「えっ?あのっ、東堂くん⁉....」

「すまないが着いて来てくれ」

その有無を言わさぬ雰囲気に雪乃はコクリと頷いて、
東堂はそれに一瞬満足そうにニッと笑った。






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