箱学

□荒北
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無自覚に恋して



最近、荒北くんがおかしい。

今までなら
「オイ」とか「ブス」って呼ばれたり「バァカ」なんて言われるのはザラだったはず。

これは嫌われてるんだって思ってたんだけど...最近は

「雪乃チャン」

ほら、こうだ。

「荒北くん、どうしたの?」

「ドリンクお願いできるゥ?」

「うん、待っててね」

「あのさァ、俺のことこわい?」

「え?」

「いや、散々ブスだのバカだの言ってたからァ...その...ごめんネ」

「...........。

あ、うん、気にして、ない、よ?」

そう伝えてボトルを差し出せば
良かったァとしゃがみこむ荒北くん。

「だ、大丈夫?」

慌てて同じようにしゃがみ込めば、手首を掴まれて

「俺雪乃チャンのこと好きだからァ。

覚悟しといてネ」

なんて言われる。

「え?」

「好きだよ、雪乃チャン」

そう言って部室を出て行ってしまった荒北くん。

私はその後、練習から戻ってきた新開くんに

「おめさん真っ赤だぞ」

そう言われるまで動くことができなかった。





おまけ
side荒北、新開目線

「靖友、おめさん、なんで雪乃ちゃんにあんなにキツくあたるんだ?」

「なんかさァ、イライラすんだよネ」

「へぇ、嫌いなのか?」

「いや、なんつーか...」

「あぁ、靖友は嫌いなら話しかけないか」

「アイツが他の奴と喋ってたりなんかすっと余計イライラするっつーか」

「ん?靖友、それは.....」

「ンで、イライラすんのに、なんでアイツのことばっか考えてんのォ?
みたいな..」

「靖友....おめさん、そりゃ恋だな」

「恋ぃぃぃ‼‼???」

「そうだろ、どう考えても。

靖友は雪乃ちゃんが好きなんだ」


そんな会話をした後、恋を自覚した靖友の行動力には感心したね。

雪乃チャンって呼び始めて、視線は甘いし、あれは雪乃ちゃん変に思ってんだろうなって思ってた数日後。

靖友と入れ違うように部室に入れば顔を真っ赤にして固まっている雪乃ちゃん。

「おめさん真っ赤だぞ」

そう言えば、雪乃ちゃんはわたわたと慌てていた。

「ヒュウ、やるね靖友」

そう呟いたのが聞こえたのか雪乃ちゃんはまた顔を真っ赤にしていた。

お、これは脈ありじゃないか?

靖友に報告してやれば

「そ、そうかよ」

と照れる靖友。
これはくっつくのも時間の問題だな。




end
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