運命の恋

□8突然の来訪者
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それから無事に学生生活を終えて、ホグワーツ特急に乗ったリズは、これからやるべきことを羊皮紙に書き連ねていた。

車内販売のワゴンが来るとランチを買い昼食の時間にした。

ちょうど食べ終わった頃、一羽のフクロウが窓をつついた。

「ご苦労様。

返事を書くから待っててね?」

リズは手紙を受け取ってフクロウにそう言った。

「え...シリウス?」

手紙の裏に押してあった犬の足跡を見て、リズは驚いた。

手紙には、クロフォード家で待つと書かれていた。

リズは返事を書こうと思ったが、きっと自分が帰る方が早いだろうと諦めた。

「ごめんね、お仕事無しだ。

一緒に帰ろうね」

少し不満そうに鳴いてから、フクロウは羽を休めた。

キングズ・クロス駅についたリズは急いで姿現しをした。

家の前に着くとすぐに屋敷しもべ妖精のウィンキーがやってきて荷物を運んでくれた。

「ねぇ、私にお客さんはきている?」

「いいえ、ございませんが?」

「そう?...ごめんね、荷物は部屋にお願いね」

リズはそう言って、フクロウを飛ばした。

「あなたのご主人がどこにいるか探してくれる?」

フクロウはホーッとひと鳴きして、研究所の方へと飛んで行った。

「研究所の方か..」

リズはフクロウを追った。

研究所の裏手に黒くうずくまる物を見つけて、リズは駆け寄った。

「シリウス」

うずくまっていた黒犬がリズの声に顔を上げた。

「ひとの姿になっても大丈夫よ」

リズの言葉にシリウスは変身をといた。

「大丈夫なのか?」

「うん、僕妖精とハウスキーパーさんしかいないの。

シリウスの事を密告したりしないから」

「そうか」

シリウスは心なしかホッとしたようだった。

「じゃあ家に帰りましょう。

疲れてるでしょう?」

案内してくれたフクロウを呼んで、リズはシリウスの手を引いて家に向かった。

「リズ様、お帰りなさいませ。

お荷物はお部屋にお持ちしました。

...お客様ですか?」

「ありがとう、ウィンキー」

リズは僕妖精にお礼を言って、シリウスの事を説明する。

「彼はシリウス・ブラックよ」

「リズ様...存じ上げております。

以前一度お会いしております」

「そっか。シリウスが両親にお願いにきたときのことね?」

「そうでございます。

婚約をお認めに...

しかしリズ様、世間では...」

ウィンキーは心配そうにリズを見上げた。

「ええ、そうね。

だけど真実が違ったのよウィンキー..

シリウスは無実だったの。

まあ脱獄は事実なんだけれど...


とにかく、しばらく家で一緒に過ごすから、シリウスの食事も用意してくれる?

部屋は...すぐ使えそうなのはどこかしら」

「かしこまりました。

お部屋はどこも綺麗になっております」

「そう。

それじゃあ客間がいいかな」

リズはウィンキーにお礼を言ってからシリウスを客間へと連れて行った。

「後で家の中を案内するけど、少しここで休んでてもらってもいい?

着替えてきてウィンキーを手伝ったりしたいから。

あ、別に散策しても構わないけど」

「いや、少し休ませてもらうよ」

「じゃあ夕食が出来たら呼びに来るね」

リズは笑顔で言って、自室へと駆けて行った。


着替えが済むと、リズはキッチンへと向かった。

「ウィンキー、何かすることはある?」

「いいえ、リズ様。

大丈夫でございますよ」

「そう?

ウィンキー、いつも言っているけど遠慮はいらないのよ?」

「わかっております。

リズ様が私に衣服をくださって自由にしてくださった時にそう仰られました。

家族だとも。

ですので、遠慮をしたことはありません」

「そうなの?

だけどお休みだってあまり欲しがらないし...」

「リズ様が学校に行っている間、色々と自由に過ごしておりますし。

私の部屋まであるじゃないですか」

「うん、けど...」

「リズ様、何かあればお願いをしますから」

ウィンキーにそう言われて、リズは渋々手伝いを諦めた。

「ウィンキー、お客様用の洋服って、衣装部屋に一通り揃っているかしら?」

「はい、確か男性用も女性用も子供から大人まで揃っていたかと思います」

「ありがとう。

じゃあ私は服を見てくるね。

夕食以外でまだしていない仕事はある?」

「お風呂は沸かすだけになってますが」

「そっか。

ウィンキー、本当にいつもありがとう」

リズは笑顔でお礼を言ってキッチンを後にするのだった。

ウィンキーは自身を大切にしてくれるリズを心配そうに見送った。






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