一途な恋を黒犬と
□7壊れた箒
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グリフィンドール対ハッフルパフのクィディッチの試合当日。
ものすごい嵐となっていた。
「こんな中で試合するの?」
マリアは朝起きて顔をしかめた。
箒が苦手なマリアはこんな天候の中では飛べはしない。
「でもハリーなら飛べるか。
ジェームズに似てとっても上手だもんね。」
そうしてふと昔を思い出した。
シリウスもジェームズも楽しそうにクィディッチやってたなと。
それに二人して箒が下手な私に根気よく教えてくれた。
二人のおかげで飛行訓練の授業もギリギリクリアできたようなものだ。
「本当に私って箒に乗るセンスないんだよね」
ジェームズやシリウスやハリーの飛び方を見てると、やはり自分とは全然違うんだもんなとマリアはちょっと落ち込んで、それを振り払うように顔を洗った。
「さてと、支度して朝ご飯朝ご飯っ!」
マリアは大広間へ行くと既にハリーが朝食を食べており、じきに他のグリフィンドールの選手も大広間に現れた。
どうやら大荒れの天気に少々浮かない顔だ。
それでも大人気のクィディッチだ。
学校中の生徒も先生もいつものように試合を見ようと外に出た。
もはや傘は役に立たず、皆ずぶ濡れだった。
競技場内は泥だらけで、皆箒に跨るのに泥から足を抜く必要があった。
マリアは観客の少なめな端の方の席に陣取り、周囲に雨除けの呪文をかけて雨を一時的にしのぎ、服を乾かして防水魔法をかけたレインコートを着た。
同じく防水魔法をかけた眼鏡をかけて、視界もバッチリだ。
そこまで準備して、マリアは保護魔法をといた。
雨は激しさを増していた。
それでもホイッスルの音は微かに聞こえてマリアは試合が開始された事を知った。
「この悪天候の中、よく点が入るな..」
グリフィンドールが50点リードのところでタイムアウトが入った。
「ん?ハーマイオニーかな?」
何やらハリーから受け取り呪文をかけたようだった。
「あぁ!眼鏡にインパービアス使ったのね。
ハリーも飛びやすくなるわね」
そうさっきハリーが選手にぶつかりそうになっていたのを思い出してマリアは言った。
試合が再開されしばらくすると稲妻がスタンドを照らした。
ハリーが何かに気を取られたのに気がつき、マリアはパッとそちらを見た。
黒い犬だ。
「シリウス.......」
マリアが立ち上がったと同時にハリーの乗ったニンバスが1メートルも落下した。
「あっ..!」
一瞬ハリーに気を取られたら、そこにシリウスの姿は無く、競技場はディゴリーがスニッチを見つけたことによりどよめいていた。
"また勝手なことして..."
マリアが内心文句を言っていると、どよめいていた競技場にサーッと君の悪い沈黙が流れた。
「これって....」
冷たい空気が漂い始め、マリアはピッチを見下ろした。
「ディメンター!?なんで敷地内にっ」
マリアは慌てて下に降り、パトローナスを作り出した。
が、数が多すぎてとても追い払えない。
少なくとも100はいるんじゃないだろうか。
マリアはハリーを探した。
"また影響を受けてしまう!"
マリアの予想通りハリーはディメンターの影響で女の人の叫び声を聞いていた。
「ハリーだけは、どうぞハリーだけは!」
「どけ、バカな女め!......さあどくんだ.....」
「ハリーだけは、どうかお願い!
私をかわりに殺して.....」
ハリーの頭の中に白い靄が渦巻いて、ハリーは箒から落ちて、地上に落下していった。
甲高い笑い声と、女の人の悲鳴が頭に響いている。
そうしてハリーは意識を手放した。
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