一途な恋を黒犬と

□6問題を起こした黒犬
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ハリーが出て行ったのを見送って、マリアは忍びの地図をテーブルに広げた。

「われ、ここに誓う。われ、よからぬことをたくらむ者なり」

「完成していたんだね」

「うん。シリウスが頑張ってくれたの」

そう言って地図をくまなく探すが、ピーターの名前は表示されない。

「うーん、ロンたちとホグズミードに行ったのか、この地図の外にいるのかしら」

うーんと唸るマリアを横目に、リーマスは再び地図に目を戻した。

「おや、生徒達が帰ってきたようだね」

「それじゃあもうすぐ宴の時間ね」

マリアも地図に目を戻して、再びピーターの名前を探した。

「やっぱりいない...」

「マリア、宴が始まってしまっているよ」

時計を見てリーマスが言った

「そうね、行かなくちゃ........!」

そう地図を閉じようとしてマリアは目を見開いた。

「いたずら完了!」

そう言って急いで地図を仕舞い、慌てて部屋を飛び出した。

「先に行ってて!」

「マリア?」

リーマスは首を傾げて
マリアの出て行った扉を見つめた。




マリアはグリフィンドールの談話室の入り口に急いだ。

"一体何やってるのよ!"

マリアは地図に表示された黒犬の顔を思い浮かべた。

"あれだけ目立つことはしないでと言ったのに"

グリフィンドールの談話室の前に着くと、そこには太ったレディの肖像画が無残に引き裂かれていた。

「なんてこと....」

シリウスはいないからもう逃げたのだろう。

マリアはシリウスの元へ行きたい衝動を抑えて、大広間へと向かった。




報せを受けて、現場についたダンブルドアは深刻な目で振り返った。

「レディを探さなければならん」

「見つかったらお慰み!」

突然ピーブズの声が響いた。

この大惨事が嬉しくてたまらない様子だ

「ピーブス、どういうことかね?」

ダンブルドアが問えば、さすがのピーブズもダンブルドアをからかう勇気はないようで、ニヤニヤ顔をちょっと引っ込めた。

「校長閣下、恥ずかしかったのですよ。あの女はズタズタでしたからね。

5階の風景画の中を走っていくのを見ました。ひどく泣き叫びながらね」

うれしそうにそう言い、とってつけたように「かわいそうに」と付け足した。

「レディは誰がやったか話したかね?」

「ええ、確かに。

そいつはレディが入れてやんないんでひどく怒ってましたねえ。

あいつは癇癪持ちだね、あのシリウス・ブラックは」

そのピーブズの言葉がマリアの頭に暗く響き渡った。








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