一途な恋を黒犬と

□5旧友の授業とハリーの悩み
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「どうぞ」

リーマスの声に戸が開き、セブルスが入ってきた。

セブルスはハリーの姿を見つけるとはたと足を止め目を細めた。

「ああ、セブルス。どうもありがとう。デスクに置いておいてくれないかい?」

リーマスは笑顔で言った。

セブルスは煙を上げているゴブレットをデスクに置き、リーマス・ハリー・マリアを交互に見やった。

「ハリーにグリンデローを見せていたんだ。マリアはお茶しに来たんだけどね」

そうにこやかにリーマスは状況説明をした。

「それは結構。

シュルツはいつも暇とみえる。

それからルーピン、すぐ飲みたまえ。」

「はい、はい。そうします」

「シュルツ、ルーピンがしっかり飲むよう見ておけ」

マリアは頷いて

「もしもの時はわたしがいるから大丈夫よ、セブルス」

そう言った。

「ルーピン、一鍋分煎じた。もっと必要とあらば」

「多分また明日少し飲まないと。
セブルス、ありがとう」

「礼には及ばん。」

ふんと顔を背けるセブルスを見て

「セブルスは本当に素直じゃ無いよね。

私も出来るけど、セブルスの方が腕は上だから、わざわざ引き受けたんじゃない。

リーマスのために」

そうマリアが少し茶化すとものすごく睨まれた。

「シュルツ、お前はまた...」

「だってセブルス、代弁してあげないと誤解されてばかりなんだもの」

マリアは少し膨れた。

「もちろんセブルスが昔のこと水に流して無いのは知ってるけど。

それでもちゃんと薬を用意してくれるから優しいって知って欲しいの。

彼女のためにも」

「.....勝手にしろ。我輩の仕事を余計に増やしたくないだけだ」

そう言ってセブルスは部屋を出て行った。

ハリーは怪訝そうにゴブレットを見つめていた。

「これは持病の薬でね。

さっきマリアも作れると言っていたが、特に複雑な調合を要する薬でね、あまり作れる者がいないんだ。」

そう言ってリーマスはゴブレットの中の薬を嫌そうに見つめた。

「リーマス、ちゃんと飲んでね」

マリアはそう言って紅茶を飲んだ。

「砂糖を入れると効き目が無くなるのは残念だ」

リーマスが観念して飲み始めたのを見て、マリアはマカロンに手をつけた。

「ハリーも食べたら?」

「あ、うん.....でも」

「どうしたの?」

ハリーは意を決して話し始めた。

「スネイプ先生は闇の魔術にとっても関心があるんです」

「うーん、まぁそうね?」

「人によっては、スネイプ先生が防衛術の講座を手に入れるためなら何でもするだろうって言う人がいます」

「そう、でも大丈夫よ?」

マリアは微笑んで続けた。

「セブルスはそんな事の為に薬に毒を入れたりはしないから。

私が保証するから安心して?」

「....わかりました。」

そうハリーは渋々頷いた。

「あら、リーマス飲み終わったの?口直しにどうぞ」

マリアはリーマスに新しい紅茶と特製のマカロンを差し出した。

「ありがとう」

リーマスはそれを受け取り、ハリーに向き直った。

「ハリー、さっき何か言いかけていたけど...」

「えぇ、ディメンターの事が聞きたくて」

マリアは察して言った。

「ハリー気を失うのは、あなたが特別だからよ、過去にそれだけの恐怖があったからなの」

「そうだね。誰が何と言おうと気にすることはないさ」

リーマスも朗らかに言った。

「でも...」

そう俯くハリーにマリアは良いことを思いついたとばかりにリーマスの方を向いた。

「ねぇ、リーマス」

「何だい?マリア。

その顔は良い予感はしないけどね」

そうリーマスは苦笑した。

「何よう。ただ

"ハリーに守護霊の呪文教えてあげたら?"
って言おうとしただけなのに。」

「いやしかしそれは...」

「何ですか?それ」

ハリーの問いにマリアが答えた

「ディメンターの影響を受けないようにする呪文かな。
まぁ沢山いたらダメかもしれないけど」

「僕、その呪文を教えてほしいです!」

ハリーはものすごい勢いで言った。

「だってよ、リーマス」

「ちょっと考えさせてくれ。

...いや、マリアが教えたほうがいいんじゃないかい?」

「ん?だって防衛術の先生はリーマスだし。私、夜はやる事あるもの」

「わかった。ハリー、少し考えさせてくれないか?」

「はい」

少し残念そうに、でも、希望が生まれたのか、この部屋に来た当初よりもいい顔をするハリーにマリアもリーマスも安心するのだった。

「それじゃあハリー、そろそろお戻り。

今夜の宴で会おう」

「はい。失礼しました」










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