一途な恋を黒犬と

□5旧友の授業とハリーの悩み
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数日後、再びシリウスの元へ食料を届けてから部屋に戻ったマリアは、翌日の事を思ってワクワクしていた。
明日はリーマスの初授業の日だ。





翌日、職員室で授業をするというのでマリアはワクワクと自分の席についてリーマス達の到着を待っていた。

「余程暇のようだな」

そう少し離れた席から声がした。

今職員室にはマリアとセブルスしかいないので、マリアはセブルス
の方を見た。

「暇ではないのよ?ちゃんとカウンセリングの予約も入っているし、先生方に色々と呼ばれるから。

息抜きに旧友の授業を見学したら悪い?」

「ふん、見る価値も無いだろう」

嫌悪感いっぱいの様子でセブルスは言った。

「そんなこと無いよ、リーマスの事だから絶対面白いもの。

それに私、セブルスの授業も面白いと思うのよね。

今度見に行ってもいい?」

「丁重にお断りしておこう」

その言葉にマリアが膨れていると、

「さあ、お入り」

そうリーマスの声が聞こえて、生徒達が職員室へ列をなして入ってくる所だった。

マリアがセブルスの方を見れば、目をギラギラさせ口元には意地悪なせせら笑いを浮かべていた。

そんなセブルスにマリアは大きなため息をついた。


「ルーピン、開けておいてくれ。我輩できれば見たく無いのでね」

セブルスはそう言って黒いマントを翻して生徒達の前を大股で通り過ぎた。

ドアの所で振り返り捨ぜりふを吐いた

「ルーピン、誰も君に忠告してないと思うが、このクラスにはネビル・ロングボトムがいる。

この子には難しい課題を与えないようご忠告申上げよう。

ミス・グレンジャーがヒソヒソ指図を与えるなら別だがね」

「っ!セブルス!」

マリアはその発言にセブルスの名前を咎めるように呼んだ。

そのマリアにリーマスは視線で落ち着くように言って

「ネビルに僕のアシスタントを頼もうと思っているんだ。きっと上手くやってくれると思うよ」

そうセブルスに返せば、セブルスはそのままドアをバタンと閉めて出ていった。

マリアはため息をついてからリーマスの方を見て

「それじゃあ'ルーピン先生'見学させてもらうね」

そう先生を強調していたずらっ子のように笑って言うのだった。

そんなマリアに困ったように微笑んで、リーマスは生徒達を部屋の奥の古い洋箪笥の前に集めた。

「この中にはまね妖怪、ボガートが入っているんだ」

ガタガタいいだした洋箪笥に生徒達は少々不安げだ。

「ボガートは暗くて狭い所を好む。

例えばこのような洋箪笥、ベッドの下の隙間。一度だけ大きな柱時計の中に引っかかっているやつに出会ったこともある。

この中のは昨日の午後に入り込んだやつで実習用にとっておいてもらったんだ。」

そこで一旦言葉を切り、リーマスは生徒達に質問をした。

「それでは最初の問題ですが、まね妖怪ボガートとはなんでしょう?」

ハーマイオニーが手を挙げた。

「形態模写妖怪です。

私たちが1番怖いと思うものに姿を変える事が出来ます」

マリアは回答を聞きながら、やっぱり優秀だなぁとハーマイオニーを眺めた。

それと同時にやっぱりリーマスは教えるのが上手いなとマリアは嬉しくなった。

前年の先生は先生ではなかったし、一昨年の授業と比べては格段に面白味がある。

「だからこの暗がりの中のボガートは、まだ何の姿にもなっていない。

洋箪笥の外に誰がいるのか

どんなものが怖いのかを知らないからだ。

よってまね妖怪が一人でいる時にどんな姿でいるのかは誰も知らない。

しかし、私が外に出してやるとたちまちに1番怖いと思っている物に姿を変えるはずです」

つまり、とリーマスは続ける

「初めから私たちの方が大変有利な立場にありますが、ハリー、何故だかわかるかな?」

問いかけられたハリーは、隣で一生懸命に手を挙げるハーマイオニーに悪いと思いながらも問いかけに答えた

「えーと、僕たちの人数が多いので、ボガートはどんな姿に変身していいかわからない?」

「そのとおり」

リーマスがそう言い、ハーマイオニーは少し残念そうに手を下げていた。

それからもう少しリーマスの説明が続くのをマリアはぼーっと聞いていた。







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