一途な恋を黒犬と

□1約束
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ジェームズやリリー、シリウスたちが卒業したあの日。
休暇に入る学生たちと共に乗ったホグワーツ特急のコンパートメントの一室でマリアもシリウスも物思いに耽っていた。

そんな様子の二人を見て、キングスクロス駅の9と3/4番線に降りたった後、ジェームズがシリウスを、リリーがマリアを促した。

「ちゃんと二人で話しなさいね。それじゃあまた」「シリウス、ちゃんと言うんだぞ!それじゃあ」「ま、またね二人とも」「お先に失礼するよ。またね」

そう口々に放たれる仲間たちからの挨拶を、シリウスとマリアはホームの一角で向き合わされたまま聞くともなしに聞いていた。

皆んなが去った後に降りる沈黙。
そんな沈黙を破ったのはシリウスだった。

「マリア」

その呼びかけに、俯いていた少女が顔を上げた。

「卒業したら俺のところに来ないか?」

その言葉に、自分のことには鈍感な少女マリアは戸惑いの声を上げた。

「えっと、それってどういう....」

そんなマリアにシリウスは無言で彼女の頬に手を伸ばして、そして口付けた。

一瞬だった。けれど時が止まったようにマリアは感じた。

気づけば首にネックレスがかけられていて、そこにはリングが一つ通っていた。マリアはリングを見て更に戸惑いの声をあげた。

「えっ...!?//..え⁉これ..」
「予約だ。卒業すんの待ってる」

そう言って、マリアが戸惑っているうちにシリウスは去っていってしまったのだった。

マリアは呆然とシリウスが去っていくのを見送り、しばらくしてからハッとして自身もホームを出るために歩き始めた。

「今のって告白...なの?」

そうポツリと呟いて立ち止まり、
あきらかに婚約指輪なリングがかかったネックレスを見つめた。
マリアは半信半疑なのだった。




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