巻島

□巻島ss
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ご機嫌斜めの彼



今日の裕介はご機嫌斜めだ。

雪乃は部室で考えていた。

朝は普通だったのに、いつの間にやら機嫌が悪かった。

「私、何かしたかな...」

雪乃はため息をついてから
今日は先に帰ろうと帰り支度をして、部室を出ようとした。

ちょうど外からドアが開いて裕介が入ってきた。

「裕介、お疲れ様..」

ションボリしながら裕介に言ってすれ違って出ようとすれば

「誰が帰っていいって言ったっショ?」

と裕介に腕を掴まれた。


「だ、だって裕介何か怒ってるし...」

そう言えば、裕介はハァとため息をついて前髪をかき上げた。

「.....告白。されてたっショ」

そうぽつりと裕介が言った。

「あ....うん」

たしかにお昼休みに隣のクラスの男子に呼び出されて告白をされた。

もちろん裕介がいるのだから断ったけれど。


「悪かったっショ」

「え?」

「ただの嫉妬だ」

しかも雪乃、そのこと言わないもんだから心配だったんだヨ、
と言う裕介に私も謝った。

「ごめんね、聞いたら嫌な気分になるかもと思って...。

でも、ちゃんと断ったよ?

その..

裕介と付き合ってるからって」

そう伝えれば

「あんまりカワイイコト言うなっショ」

そう裕介が言ったかとおもうと額に柔らかい感触

「あ...」

「今はこれで我慢するか」

とかなんとか言って、裕介は帰り支度を始めた。

私は真っ赤な顔で、裕介が“帰るぞ、雪乃”と呼ぶまでその場で固まっていた。






お題 確かに恋だった 様より
end
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