黒執事

□その執事、殊勝
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「セバ…セバスチャン…」
そう苦しそうに息をしてシエルが呼びかける。
「さあ壁に手をついて、もっと力を抜いて下さい。」
「これ以上…っムリだ!」
苦しいとセバスチャンは言う。
「もう少し我慢して下さい。すぐ慣れます」
そうセバスチャンが言うと
「あっ、で…

出る(内蔵が)って言ってるだろうがッ!!!


そう叫んだところで
シエルはバッと目を見開いて
「夢か…」
そう呟く。
パーティーに行く前、ドレスを着るためにセバスチャンに
コルセットをキツく締められている時の夢を見たのだった。
息を整えつつ身動きを取ろうとするがまったく動かなかった。
「!」
”暗い…いや目隠しか?
何かで拘束されてるな…”
そう思いつつ軽くしたうちをするシエル。
”とりあえずココはどこだ?”
そうしてシエルは耳をすました。
「ご静粛に。
お集りの皆様。次はお待ちかね、目玉商品です」
とそんな声が聞こえた。
”子爵の声!!…だが商品?なんのことだ…?”
「ではご覧下さい」
そう言ってドルイットはバサッと檻の布をとった。
「観賞用として楽しむもよし、愛玩するも良し。
儀式用にも映えるでしょう。
バラ売りするものお客様次第。」
そのドルイットの言葉に
「なっ…」
そうシエルは小さく口にした。
「ここまでの商品はなかなか手に入りませんよ。
瞳の色は美しい空を映した海と深き森のコントラスト。
只今お見せいたしましょう。」
その言葉にシエルは
”闇オークションか!”
と理解する。
そうしてアシスタントなのか、仮面を付けた女性がシエルの目隠しを外す。
”この男…殺した娼婦の臓器はココで売りさばいていたという訳か…”
「スタートは1000から!」
そのかけ声とともにオークションが始まり、
2000、3000と声がかかる。
「さあもう次はいらっしゃいませんか?」
そこでシエルは目を開き
「セバスチャン、僕はここだ」
そう呟いた。
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