黒執事

□その執事、最強
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「随分と騒がしいな」
そう言いながらビリヤードをする面々。
廊下ではバルドたちが
ロンドンで大量発生しているネズミをとらえる為に騒いでいた。
「どうやらココにも鼠がいるようだ」
「食料を食い漁り疫病ばかりふりまく害獣をいつまでのさばらせておく気だ?」
そう言ったのはサンドイッチを頬張る小太りの男。
それに対して
「のさばらせる?彼は泳がせているのでは?」
と劉。
「そう、彼はいつだってナインボール狙い。
次もパスなの?ファントムハイヴ伯爵」
と真っ赤な衣装を身につけたマダム・レッドは
ファントムハイヴ伯爵ことシエルにたずねた。
「パスだ。
打っても仕方ない球は打たない主義でね」
「御託はいい。鼠の駆除はいつになる?」
「すぐにでも。すでに材料はクラウスに揃えてもらった。
巣を見つけて鼠を根絶やしにするには少々骨が折れる。
それなりの報酬は覚悟して頂こうか」
「・・・ハゲタカめ・・っ」
「貴殿に我が紋を侮辱する権利が?
鼠一匹しとめられないブラッド・ハウンドばかりに大枚をはたいている貴殿に」
ぐっと言葉に詰まるランドル公。
会話中に球を打った劉は
「残念ファールだ・・台球(ビリヤード)は難しいな」
そうため息をついた。
「次は伯爵か、どうする?」
「そろそろこの下らないゲームも終わりにするか。
それで?報酬はいつ用意できる?」
ランドル公とすれ違い様にシエルは問う。
「・・こ・・今晩には」
「いいだろう。
後で迎えの馬車を送る。ハイティーを用意してお待ちしよう、サー」
ギリッと奥歯を噛み締めたランドル公をおいて、
シエルはナインボールに狙いを定める。
「残り3球からナインボールを狙うのかい?」
「当然だ」
「ゲームの天才のお手並み拝見といこうじゃないか」
「”強欲”は身を滅ぼすぞ滅ぼすぞ、シエル!」
そしてシエルは球を打った。
7、8といい音をたてて弾きナインボールを目指す球。
ゴトンッ
と球がポケットに入るのと同時に
「強欲ねぇ・・」とシエルは小さく呟いた。
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