運命の恋

□9再会と通じる想い
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しばらくしてリズが落ち着いた頃、ルーピンは抱きしめていた腕をそっと緩めてリズを見つめた。

リズが恥ずかしそうに顔を上げると、自分を優しげに見つめているルーピンの瞳とぶつかってリズは目を反らせなくなった。

「リーマス...」

「リズ」

愛おしそうに名前を呼ばれた後、ルーピンの手がリズの頬に触れた。

リズは顔が赤くなるのを自覚していた。

そんなリズにルーピンはそっと顔を近づけて口付けた。

「ぁ.....」

リズはもっと顔を赤くして俯いた。

「リズ、顔を上げてくれないかい?」

恥ずかしくて俯いたまま首を振るリズに、ルーピンはいたずらっ子のように笑って、リズの顔を覗き込んでそのまま触れるだけのキスを落とした。

リズは俯いていた顔を勢いよく上げて、羞恥心に勝てずにその場から逃げようとした。

が、ルーピンに腕を掴まれ後ろから抱きすくめられるのだった。



「ぁぅ.....//

リ、リーマス...離して?」

「それは出来ない」

「え....どう、して?」

恥ずかしくて逃げ出したいリズは懸命にルーピンの腕の中から抜け出せないものかと問いかけた。

「離したらどこに行くんだい?」

「え、えっと...。

あ!シリウスを呼びに」

「だと思ったよ。

そんな顔したままのリズを行かせると思うかい?」

呆れたようにルーピンが言えば、リズはキョトンとして聞き返した。

「そんな顔って...?」

「顔を真っ赤にして目を潤ませてるそんな可愛い顔のリズを他の男に見せるわけがないだろう?」

あれ?とリズは思った。

リーマスはこんな事を言う人だっただろうか?

「で、でもシリウスだよ?」

「言っただろう?シリウスは本気だって」

そういえば言われたな、と

リズはルーピンの腕から逃げ出そうとしていたのも忘れて冷静に思った。

「それに...リズの両親はシリウスとの婚約を認めていたんだ...

リズの相手としてシリウスが申し分ないと....

それに比べて私は...」

「リーマス?」

なんだか苦しそうな声に、リズはそっとルーピンを振り仰いだ。

そこにはやはり苦しそうに顔を歪めたルーピンがいてリズは思わず自分からルーピンに口付けをするのだった。

「....リズ⁉」

「リーマス、私が選んだのはリーマスだよ。

そばにいて欲しいのはリーマス。

大好きなのはリーマスだよ!

お父さんとお母さんがシリウスとの婚約を認めてたとしても、

私が選ぶのはリーマスよ」

リズは必死に訴えた。

「リーマスに私の気持ちを受け入れてもらえて、今すごく幸せなの。

ね、これでもそんなに不安?」

リズはルーピンにぎゅっと抱きついて顔を見上げた。



ルーピンが何かを言う前に

「リーマス、相変わらずだな」

と苦笑したシリウスがリビングに戻って来たのだった。

「リズと晴れて付き合うことになったんだろう?」

「あぁ、そうだよ。だから..」

「不安か?

俺はリーマスとリズが別れない限り横槍なんかいれないぞ。

リズだって気が変わるようなやつじゃないだろう?」

やれやれといった風に肩をすくめて、シリウスは続けた。

「昔から変わらないんだな。

そうやって卑屈になって考えすぎるとこ。

ジェームズが昔言っていただろう?

"君が人狼だろうがなんだろうが気にすることはない。そんなのはちっぽけな問題さ"

って。」

少し懐かしそうにシリウスは言い、ルーピンも懐かしそうな顔をした。

「そう、だったね」

「なら何も気にする必要はないんじゃないのか?」

シリウスの言葉にリズは頷いて

「リーマスが不安なら不安なことを全部話して。

私、リーマスが不安にならないように頑張るから」

「リズ..」

「リーマス、リズがお前の為にどれだけの覚悟で騎士団に入ったのか考えるんだ。

それにリーマス、お前のことが好きだって伝えるのに必死だろ。

少しは信じてやれよ」

ルーピンはシリウスからリズに視線を移した。

「リーマス?」

「....シリウスの言う通りだね。

あまり深く考えるのはやめるよ」

そう言ってルーピンはリズに微笑んだ。

「それでいいさ」

シリウスはニヤリと笑ったかと思うと

「よし、二人で出かけてくるといい。

リズ、食材の買い物も頼む」

そう言って自室に引き上げていくのだった。

「シリウスのやつ...」

苦笑するルーピンにリズは首を傾げつつ、嬉しそうに出かける準備を始めるのだった。

そうして2人仲良く手を繋いで出て行ったのを確認して、シリウスは

「全く世話の焼ける親友だ」

そう嬉しそうに呟くのだった。






fin
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