一途な恋を黒犬と

□8ホグズミードと間違った噂
3ページ/5ページ

マリアは急いでハリーに透明マントを被せ、ハーマイオニーは

「モビリアーブス!木よ動け」

そう呪文を唱えてクリスマスツリーを自分達が隠れるように動かした。

「はぁ...ありがとう、ハーマイオニー」

マリアは小さくお礼を言った。

近くのテーブルで会話する先生達に、ハリーだけでなくマリア達まで固唾を飲んだ。

どうやらマダム・ロスメルタも一緒に一杯飲むようだ。

「それで大臣、どうしてこんな片田舎に?」

「他でもないシリウス・ブラックの件でね。

ハロウィンに学校で何があったか噂くらいは聞いているんだろうね?」

ファッジがマダム・ロスメルタに聞いた

「噂は確かに耳にしていますわ」

その答えにマクゴナガルが

「ハグリッド、あなたパブ中に触れ回ったのですか?」

そう腹立たしげに言った。

「大臣、まだブラックがこの辺りにいるとお考えですの?」

「間違いない」

ファッジはきっぱりと言った。

「ディメンターが2度もパブの中を探し回っていったんですのよ。

お客様が怖がって皆出て行ってしまったんですの。

商売上がったりですのよ!」

少々トゲトゲしくロスメルタは言った。

「いや、ロスメルタのママさん、私だって連中を好きなわけじゃない。

だが用心に越したことはないんでね。残念だが仕方ない」

「でもねえ、わたしにはまだ信じられないですわ」

ロスメルタは考え深げに言った。

「どんな人間が闇の陣営に加担しようと、シリウス・ブラックだけはそうならないと思ってました。

.....ホグワーツの学生だった頃のことをよく覚えていますわ。

もしあの頃誰かがこうなるなんて言っていたら、

蜂蜜酒の飲み過ぎよと

言っていたと思いますわ」

「君は話の半分しか知らないんだよ。最悪の仕業をね」

「あの人の1番の親友は誰だったか覚えていますか?」

マクゴナガルが呟くように言った

「えぇ。いつでも一緒で、よく笑わされました。

シリウス・ブラックとジェームズ・ポッター!」

その言葉にハリーが動揺したのがわかった。

スナッフルズも今にも飛び出しそうで、マリアは気が気じゃなかった。

なおも話は続いた

「ブラックとポッターはいたずらっ子たちの首謀者で、二人ともずば抜けて賢かった。

しかしあんなに手を焼かされた二人組は無かったですね」

マクゴナガルはため息まじりに言った

「いやいや、フレッドとジョージ・ウィーズリーにかかっちゃ互角かもしれねぇ」

そうハグリッドが笑い

「一心同体だった」

フリットウィックも言う。

「ポッターはブラックを誰よりも信用し続けていた。

結婚式の時も新郎の付き添い役を務めたし、ハリーの名付け親にもした。

ハリーはまったく知らないがね。」

ファッジは続けた

「ポッター夫妻が狙われているとわかった時に、ダンブルドアは二人に身を隠すように勧めた。

ダンブルドアは忠誠の術が1番助かる可能性があると二人にそう言ったのだ」

「どんな術ですの?」

ロスメルタは息を詰めて聞いた

「一人の生きた人の中に秘密を魔法で閉じ込める。

選ばれたものは秘密の守人となる。

この守人が口を割らない限り、二人を見つけることは絶対にできない。」

「それじゃあブラックが守人に?」

「当然です。

ジェームズ・ポッターはブラックならば二人の居場所を教えるくらいなら死を選ぶだろうとそう言っていました。

それでもダンブルドアは心配して、自分が守人になろうと申し出たことを覚えていますよ」

マクゴナガルは言った。

"シリウスならそうしたよ、絶対。
今だってジェームズの為に無茶してるんだもの..."

マリアはそう心の中で叫んだ。

「ダンブルドアには二人に近い誰かが『例のあの人』に通報しているという確信がおありでした」

「それでもジェームズ・ポッターはブラックを使うと主張したんですの?」

「そうだ。
そうして1週間も経たないうちに....」

ファッジが重苦しい声で言った。

「ブラックが裏切った?」

ロスメルタはそっとささやいた。

「そのとおりだ」

「くそったれの裏切り者め!」

ハグリッドの怒鳴り声が響いた。

「俺は奴にあったんだ。

最後にあったのは俺にちげぇねぇ。」

ハグリッドは続けた

「崩れた家からハリーを連れ出した。

そしたら空飛ぶオートバイでシリウス・ブラックが現れた。

ヤツめ真っ青になっとたわ。」

"あぁ、自分の間違った選択で二人を亡くしたんだもの...青くもなるわ"

そう思ってマリアはスナッフルズを優しく撫でた。

「あいつめ自分がハリーを育てるとも言っておった。

けど俺にはダンブルドア先生からのお言いつけがあったわ。

結局ヤツは諦めた。

けどもしあの時俺がハリーをヤツに渡していたらどうなった?

海の真ん中までバイクで飛んで行って、ハリーを落としたにちげぇねぇ!」

ハグリッドの話の後は長い沈黙がおりた。





.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ