運命の恋
□1出会いと新学期
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その日のリズの授業は魔法薬学、魔法史、午後一番に闇の魔術に対する防衛術だった。
運が良いのか悪いのかリズにはどちらとも言えなかった。
正直、授業は楽しみだし話す機会があるかもしれないのも嬉しい。
けれど心の準備も出来ていないのだ。
"授業に集中するって決めたじゃない"
リズは心の中で自分を叱咤して、午後の闇の魔術に対する防衛術の教室へと入るのだった。
授業は今までの授業に比べて格段にわかりやすく面白かった。
そして実践的だった。
最初の授業はケルピーで、皆んなで縄かけ呪文の練習をしたのだった。
授業が終わったあと、リズは早速質問をする為に教室に残っていた。
「ルーピン先生、質問があるんですけど、お時間ありますか?」
「ああ、リズだったかな?
純血の家系のクロフォード家?」
「ええ、一応そうですね」
リズは苦笑した。
「 ああ、すまない。
君も純血主義というわけではないんだね」
「君も??...確かに代々純血で来てるわりにわが家は誰も血筋に拘ってはいないですけど」
「私の友達が純血主義に反抗していたんだ。昔の話だけどね」
「そうなんですか。珍しいですね。
うちは色々と変人扱いされているので、その方も大変だったんでしょうね」
リズが素直に思ったことを言うと、少し驚いたようにルーピンは言った。
「あ、ああ。そうだっただろうね。
ところで質問はなんだったかな?」
「はい。今日のケルピーですけど、縄かけ呪文で手綱をかける以外にはおとなしくさせる術は無いんですか?
様々な形態に変身するということは馬や海蛇以外の場合も当然あるってことですよね?」
「その通りだよ。
大抵がそうであるだけで、中には変わった姿になっているものもいる」
「そうすると、そういう場合は気がつくのも遅れそうだし、手綱をかけられない場合もあるんじゃ無いかって思うんですけど...」
「リズの言う通りだね。
ケルピーについて詳しく載っている本があったはずだから、次の授業の時に用意してこよう。
それを読んでわからないことがあったらまた聞きに来てもらってもいいかな?」
「え、はい。ありがとうございます」
「それじゃあそろそろ夕飯の時間だから大広間へ向かった方がいい。」
ルーピンは時計を見てリズに言った。
「ルーピン先生、ありがとうございました。」
リズは頭を下げて教室を後にしたのだった。
「なんだか強制的に会話を終わらされたような....」
リズは腑に落ちないながらも急いで大広間へと向かったのだった。
リズが出て行った後の教室では、ルーピンが参ったなと小さく呟く声が教室に響いた。
ホグワーツ特急でクロフォードと名乗られた時、まさかと思ったのだ。
あの純血家系のクロフォードなのかと。
実際さっき聞けばまさにそれだった。
「いつばれてもおかしくないな...」
自分の秘密と過去の出来事を思い出しながらルーピンは呟いた。
だからというわけではないが、彼女とは深く関わってはいけない、いや彼女も関わりたいと思わないだろうとそう思ったのだった。
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