記念

□マヨラー独占権
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「…ん、んー……」

「…っ!!?」

隣のうめき声に、肩がびくついた。

恐る恐る隣を見遣る。

そこには、なんともだらし無い男の寝顔。

その寝顔にイラッときたのは、気のせいではないはずだ。

殴りたい衝動に駆られるが、なんとか抑え近くにあった着物を手繰り寄せる。

よし、これを着て、とっととずらかろう。

何時もならこんなこそこそするような事は絶対にやらない。

だが、この銀髪男に起きられてしまったら厄介だから、仕方がない。

土方は着物を羽織り、立ち上がろうとしたが、体が動かなかった。

「おいおい多串くん。銀さんに黙って帰ろうなんて、酷いんじゃねぇの?」

しまった、と思った時には時既に遅し。

土方の体は布団の上へと戻っていった。

気付いたら背中に柔らかい布団の感触、そして。

「ささ、多串くん。銀さんにおはようのチューは?」

起きてるのか寝てるのか見分けがつかないような目で、銀時は唇をタコさながらに尖らせながら、土方にへと顔を近づけていく。

苛つきを通り越して、殺意さえ沸いてくるのは気のせいではない。

現に、土方の額にはくっりきと青筋が浮かんでいた。

近づいてくる顔を両手で押さえ、

「…っテメェは朝っぱらから盛ってんじゃねーよ!この天パーが!!」

「ぶふぉっ!?」

罵倒と共に頭突きを食らわした。

銀時の体は後ろへと傾ぎ、体が軽くなる。

土方は急いで起き上がると、着物の合わせ目を整え、帯を絞めた。

「―痛っ…本気で頭突きなんかするなっての。今、お花畑がかいま見えたんですけど」

頭を摩りながら起き上がる銀時に、土方は内心舌打ちした。

おしかった、とその目は語っている。

「…おい、万事屋。なんで俺はこんなところにいるんだ?」

そんなことよりも、と逃げることを諦めたらしい土方は自分と向かい合うように座った銀時へと尋ねた。

「なんでって、そりゃあ銀さんのモンだからだろ」

普段の死んだような目でなく、あれ、なんか輝いてね?という感じでさも当たり前のように答えた。

「…ぎ、銀と「だから、銀さん愛してるぅーって、心置きなく言ってもいいんだぞ、多串くん」

「言うかァアアアア!!」

ちゃぶ台返しの勢いで、土方は怒鳴った。

一瞬ときめいたのは気のせいだ。

なんかの間違いなのだ。

普段ちゃらんぽらんだと、たまーーーにイイこと言ったり、目が輝いたりすると格好よく見えたりするのだ。

恐るべし、銀時マジック。

「…というのは冗談で。いやさ、多串くんに合いに頓所行ったらさ、お持ち帰りしていいって言うから、つい」

「つい、じゃねーよ!なんだ、その子猫貰い受けるよーな感覚は!!だれだ?誰が言いやがった、そんなこと!!」

「誰だっけかなぁー…確かそ、そ…総一郎くんだ」

「今、適当に言っただろ!!」

「違った、総悟くんだ」

「総悟ォオオオオ!?」

あいつ何やってんだ!!と、土方は頭を抱えて叫んだ。

「そういえば、お礼に240円あげたなー」

俺はジャンプか

ペシッと手元にあった枕を投げ付けた。

もはや土方の頭の中は、総悟に対する怒りで一杯だった。

昨日の夜、ここで何があったのかを気にする余裕さえなかった。

とにかく、目の前にいる銀時を怒鳴り付ける。

でも、端から見た土方は、

「だから、多串くんは俺のモンだ」

「腰を撫でるなァアアアア」

満更でもなさそうだった。








税込み240円で買えます。


(たっぐしくぅーん)
(テメェはル○ンか!!)






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