記念
□看病という名の逢瀬
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「ゲホッ、ゴホッ……!あーついてねェな、せっかくの休みなのに」
ダリィ、と愚痴をこぼしながら自室の布団で言う。
「風邪なんてひかねェと思ってたんだがな……」
だるい体で寝ていると障子がスッ、と開いた。
「具合はどうですかィ?土方さん」
見るとそこにいたのは総悟。
「げ!総悟じゃねぇか」
思いっきり嫌そうな顔をする。
「げ!とはひどいですねィ。恋人が見舞いに来てやったってのに」
そう言うと布団に近づいて来た。
「な、ちょ、待て。何するつもりだテメー」
ぺたっ
「冷たっ!」
「人がせっかく看病してやろうと来たってのにその反応は無いんじゃないですかねィ?」
ドSな笑みを浮かべると、そのまま唇を近付けて来た。
「風邪うつるだろうが……っんむ」
ただ重ねるだけの口づけ。
しかしそれでも熱は上がる。
上気する頬と長いような短いような一時。
「ふ、あ…う…」
ゆっくりと離される唇。
「おいしかったでさァ、土方さん」
そう言うとニヤリと笑い、静かに部屋を出ていった。
「んの……アホ…っ!」
体に残る熱はまだ晴れず、心臓は相変わらずうるさい音を立てている。
そっと、自分の唇に触れてみる。
少し湿っているのが艶かしくて、恥ずかしさを隠すように布団を被った。
end
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