COLORFUL DAYS-色 鮮やかな日々-

□モノクロの世界
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座り込んだ青年は苦笑いを浮かべ
「何か在り来たりな場所ですんません。」
と、申し訳なさそうに言葉を紡ぐ。

俺は、隣に少し間隔を空けて腰を下ろすと首を横に振った。そして、空を見上げながら、
「いや、俺、屋上、来たことないから。」
と吹き付ける風に心地良さを感じながら答えた。




「マジッスか!?」

「ウソついてどうする。」



瞠目する青年に溜め息混じりに答えた。


屋上に行ったことのない生徒なんか俺以外にもいるだろう。

と言いたくなったが、止めた。


親しくもない況してや初対面の人間に、そこまで言う必要もない。
そう思ったからだ。









俺は、買ったパンに手を付けると徐に口を開く。
「お前、何で俺を昼に誘ったんだ?
同じクラスじゃねぇだろう?」


とは言うものの、俺はクラスの奴の顔なんて剛志と数人しか覚えてない……。







彼が、同じクラスだった時、俺は、ただ淡々とした口調で謝り、それで終わりだろう。











いつもの事だ。
別に気にする事じゃない。




俺の質問に青年は、弁当箱を開けようとしている手を止め、左頬をポリポリと掻いた。


そして、
あー
と、気まずそうな声を出す。



「いつも先輩のこと教室から見てて、いつか一緒に飯とか食いたいなぁ。なんて思ってて、それで……。」

誘ったんッス
と最後の方は蚊の鳴くような小さな声音で言う青年。



「じゃあ、いつも俺が走ってる時に声を掛けてくるのは……?」

「俺ッス。」



指を差して瞠目する俺を他所に彼は照れた様子を見せる。






 
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