COLORFUL DAYS-色 鮮やかな日々-
□色付き始めた世界
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目立つ色じゃない。
だけど、それは確かに存在する。
俺の世界に……
たった、一色だけど、
淡すぎて分からない色だけど
存在した淡い、淡い
綺麗な色
色付き始めた世界
翌朝、俺は、いつもの時間に起きて陽那堵と一緒に朝食を摂っていた。
「兄貴、今日は、弁当を用意しといたから忘れないでね」
「あぁ、サンキュ」
味噌汁を啜り薄く微笑んでみせた俺は、テーブルの端にあった弁当箱を隣の椅子に置いているカバンの中に入れた。
俺の両親は一流企業で働く一流の仕事人間だ。だから、家に殆ど帰ってこないで世界中を飛び回ってる。
それを不便だと思った事はない。寧ろ気が休まる。
強いて不便だと思うのは3者面談の日程に仕事を休めず1ヶ月後とかになる事ぐらいだ。
まぁ、困るのは俺ではなく担任なのだが……。
けど、陽那堵は分からない。中3だが、親がいなくて困ることもあるかもしれない。
向こうに移り住むという話も陽那堵には、あったが、こいつは断って俺といる事を望んだ。両親は、いなくても弟が一緒にいてくれるのは正直、とても嬉しかった。
俺の家族は、陽那堵だけ……。
そう言っても過言ではなかった。