Novel

□Sweetbrier
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「…えー、今日一日このプリンプ魔導学校で先生を勤めさせてもらう事になったレムレスです。初めてだし、上手く出来ないかもしれませんが、今日一日よろしくお願いします。」

「よろしくお願いします!」

嬉しそうな声や、ただ返事しただけの声、眠たそうな声。色々な感情が混ざった返事が聞こえる。

…ここはプリンプタウンの学校のとある教室。普段なら担任のアコール先生がいるのだが、今日はいつもとは違う景色。教卓には、学生でありながら優秀な魔導士であるレムレスの姿が。
そして、生徒達の中にも1人、一日だけ転校生としてアミティ達に混ざっている人がいた。

数分が過ぎ、レムレスの話が終わり、休み時間がやって来た。早速新しく来た先生についてのおしゃべりが聞こえる。元々学校に知られているおかげで、悪口を言う様子は無く、期待されているようだ。

「へぇー。今日はレムレスが授業やってくれるんだ。今からすっごく楽しみ〜! 今日だけってのはちょっと勿体ないけど。」

「まあ、確かに。レムレスは有名人なんだから、忙しいはずだ。今日だけでもラッキーだと思うべきさ。」

次の授業が楽しみだと言わんばかりに、アミティもクラスのおしゃべりに加わっている。クルークはいつものようにレムレスの事について誇らしげに語っている。

「…zzz。」

寝ぼけた声がざわめきに混じる。

生徒達はがやがやとした教室にの隅に、見慣れない女子1人と普段と変わらず居眠りしてる人に気付く。

「シグー? 今の話ちゃんと聞いてた…?」

「ふぇ〜。めずらしいムシでもいるの〜?」

アミティが声をかけてみたが、シグは目をこすりながら、寝ぼけた発言。いつもと変わりないが今日ぐらいは少しは違う反応をするかなと期待していたが、期待しないほうが良かったかな…。


…それよりも、みんなはシグの後ろにいる人が気になっていた。

「アナタ達…。私をジロジロ見るなんていったい何の用…? あ、そうね、先に言っておくけど、先輩に手を出したらただじゃすまさないわよ…。」

クラスにダウジングロッドを向けながら、その人はまるで誰かを呪うかのようにそう言った。
そう、彼女の名前はフェーリ。レムレス先輩が大好きという、一途な(サタン曰く)女の子。ダークな雰囲気を持っているせいか、今の言葉を聞いて、クラスの数名は軽く引いてしまった。

どうやらフェーリは先輩が心配になってわざわざアコール先生に直訴してまでここに来たらしい。玄関にはバルが鎖で繋がれている。繋がれていても、バルはなんだか楽しそうな様子。なんだか花壇で蝶と戯れているみたいだし…。


「…ってなんでフェーリがここにいるんだよ!? キミは隣街の学校の生徒のはずだろ?」

「何よアナタ…。私はちゃんと先生の許可を貰ってるから心配ないわ…。」

クルークとフェーリ。
犬猿の仲のふたりは今にでもケンカを始めそうな雰囲気。まるでお互いが火花を飛ばしあっているみたいで、険悪な熱気が感じられる。
嫌な感じを察したアミティは慌てながらもふたりを止めた。

「ふたりとも! ケンカはダメだってば! それにもうすぐ次の授業始まるよ!」

なんとかふたりを止めたアミティはみんなにも自分の席に戻るよう促した。確かに教室の時計の針はあと少しで休み時間の終わりを告げようとしていた。
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