Novel

□異世界とのつながり
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ここはアルル達の住む平和な魔導世界。今は訳あってアルルとその友達カーバンクルは不在。
ただ、“あの人”がここにいる限り、この世界に『平和』はあっても、『平凡』はなくならないと思われるが。実際、その人の気紛れのせいで以前に闇の存在である『ヨグ』とかいう化け物達がいたくらいだ。
あの時は異世界ガイアースから来た、勇者ラグナスやルルー、シェゾ達の力でなんとか平和を取り戻せた。
…あの戦いが終わってから今までに大きな事件は起こっていない。おかげで退屈な事この上ないが、珍しく平和で平凡な時間が流れている。みんなはこの状態が続く事を願っているかのようだ。でも、平凡な時間はすぐに消えていってしまうものだから。
少し前にちょっとした事件がこの世界で起こった。それはこの世界から沢山のぷよぷよが消えたという事件。普段ならたいした事件じゃないのだけど、消えたのはぷよぷよだけではなかったのである。ぷよぷよと一緒にアルルとカーバンクルがこの世界から姿を消してしまったのだ。
…不思議な事に、アルル達2人(正しくは1人と1匹?)の消息に気付かなかった人がかなりいた。気付いた人はごく少数という、なんとも変わった出来事だった。






『この頃何も面白い事が起こらないな…。あの事件以来、アルルもカーくんもこの城に来なくなるし、退屈でしょうがない。…だからといって、また異次元に手を出して良からぬ事が起こるのも困る。何か退屈しのぎになる出来事はないのか?』

自称“闇の貴公子”のサタンがいつものように大量のカーくんの人形をに囲まれながら、独り言を呟いている。サタンはこの世界に気紛れで事件を起こす変人だ。他とは比べものにならない程の彼は強大な魔導力を持っていて、10万年以上生きているくせにカーバンクル狂だ。おかしな人ととしか言いようがない。今日もまた、自分の退屈をしのぐ為に何か考えているようだ。どうせ良からぬ事を考えているに違いない。サタンの思いつきが良い事になるなんて今まで無かっただろうし…。突然、何かを思いついた表情で立ち上がり、あの時のように日記に何か書き始めた。

『…今度は失敗しない。次は皆の前で異次元の扉を開いてみせよう。そうすればきっとアルルも私の事を見直すだろう。フハハハハ!』



何日かして、サタンの住んでいる塔から不穏な空気を感じた。何人かがサタンの塔の近くに集まって来た。やって来たのはルルー、シェゾ、すけとうだら、ぞう大魔王、ナスグレイブの6人。(…正しくは2人と4匹?)
彼らはサタンを見張りながら、いつものようにぷよ勝負をしている。

もちろんサタンはそんなことに全く気付いていない。塔の中で1人閉じこもり、どこかの異次元と魔導世界をつなげようとしている。前回の教訓は全くもって効果無しの模様…。塔の中はサタンの笑い声が響いている。外でぷよ勝負をしている6人にも何か嫌な気配を感じていた。

…数時間後、突如サタンの塔の周りに異変が起きた。中にいるサタンは突然の出来事に対処できず慌ててしまっているが、異変が起こったのは塔では無く、塔の外であるから、外の6人のほうがこの突然の出来事に驚いた。
ここに起きた異変とは、異次元への入り口がが外に現れたということ。それに加えて、魔導世界そのものが大きく揺れた。

『な、なんだ!? いったい何もが起こったんだ?』

『サタン様はいったい何を!?』

『ぞう大魔王! お前が揺らしてるんだろ! このおたんこなーす!』

『俺様は何もしてないぞう!』

外はてんやわんやの状況。サタンは異次元への入り口を閉じようとしたが出来ず、パニックになってしまっていた。

…さらに悪い事にそれは近くにあるものをすべて吸い込もうとし始めた!
どんなに抵抗しても、走って逃げようとしても、無駄だった。

そして、サタン達7人は異次元に無理やり吸い込まれてしまった…。




ちょうどその頃
今日も良い天気だね〜♪ ぷよ勝負するにはぴったりの天気だね、カーくん!』

『ぐぐー!』


…ここはぷよぷよが存在する、もうひとつの世界プリンプタウン。アルル達は偶然、魔導世界からこの異次元にやってきた。ここは魔導世界とは大きく違うけど、ぷよ勝負は同じように出来るのだった。

プリンプタウンは今までアルルが住んでいた魔導世界とは全く別世界であるが、よく見ると住んでいる人など、どこか似ているものが沢山あった。おかげで帰れなくても寂しい思いをしないですんだ。最初にここに来た時は流石に驚いたけど。

今はこの世界でも友達が出来たし、毎日ぷよ勝負が出来るから不便は感じないし、楽しい時間をすごす事が出来る。
最初にここに来た時は何がなんだか分かんなくて大変な思いをしたけど…。この世界にも学校があるから、時々遊びに行くけど魔導力があんまり強くない子も毎日学校に通っているし、えらいなぁって思う。ボクたちの世界だと、『魔導力は素質に左右される』っていうから、なんだかスゴい事に思えた。


…それは置いといて、今日はプリンプタウンでぷよ勝負の大会があるから、優勝目指して頑張ろう!




プリンプ魔導学校の前には今、とてつもないほど大きな人だかりがある。今日の大会では相当すごいぷよ勝負が行われるのだろう。みんなは早くぷよ勝負をしたくて、ウズウズしている。しばらくして、アミティ達の担任教師のアコール先生が、大会の開会式を始めようと、みんなの前に出て来て話し始めた。

『ただいまより…、プリンプ魔導学校主催 バトル大会の開会を宣言します。』

『わーい』

『みなさんには全8戦のさまざまなぷよ勝負を勝ちぬいてもらいます。すべてのぷよ勝負を勝ちぬいた優勝者には、ねがいごとのかなうメダルを授与します。』

歓声が起こる中、アルルとアミティがみんなの前に出た。

『選手宣誓!』

『わたしたちは正々堂々とぷよ勝負をすることを誓います!』

『ちかいまーす』

『みなさん優勝目指してがんばってね。』

所々、シグのやる気の無い声が混じったが、みんなは優勝を目指してぷよ勝負を始めようとした。ふと、シグが空を見上げると、空から何かがふってきた。遠くから落ちてきているようなのであまりよく見えないが、どうやら人が落ちてきているようだ。シグ以外にこれに気付いた人は居ない様子。

『…なんかふってきたけど。…ま いいか』

シグはそんなことに気をとられる事無く、みんなの中に混じってぷよ勝負を始めた。


プリンプタウンに、さっきシグが気付いた人達が落ちてきた。空から落ちてきたのは、ルルー、シェゾ、ぞう大魔王、ナスグレイブ、すけとうだら、サタンの7人。皆、散り散りになって街に落ちていった。

…偶然にもサタンが魔導世界に繋げたのはアルル達がいるプリンプタウンだった。…もしかしたら、アルル達がサタン達をプリンプタウンに導いたのかもしれない。
そして、今はぷよ勝負の大会中で人混みに紛れる事が出来たから、大事件にならなかったのは幸いだった。但し、彼らも大会に出場する羽目になってしまうのであった。


…一方、その頃のアルルは1回戦のぷよ勝負を始めようとしていた。その相手は魔導学校の生徒の1人であるクルーク。彼は成績優秀だが、生意気な性格という変わった生徒。

『成績とぷよ勝負の腕前は一緒じゃないし、1回戦から一気に勝ち進んじゃおう!』

アルルは早速、相手であるクルークに声をかけた。
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